親や家族にはまだカミングアウトしていない。

でも、一緒に暮らしてきたパートナーのことを思うと

「もしものときに、何も備えがないのは正直こわい」

という気持ちも、同時にある。

こういうお悩みは、実はとても多いです。
 
 
まず大前提として、

成年であるお二人が結ぶ契約そのものに親や家族の「同意」や「承諾」は原則として必要ありません。
 
 
行政書士や公証役場とのやり取りも、通常は、

・当事者お二人

・専門家(行政書士など)

・公証人

この範囲で完結し、契約をしたからといって自動的に親や家族へ通知が行く仕組みはありません。
 
 
とは言え、現実的には、

・家に届く郵便物

・印鑑証明や住民票などの取得

・将来、親が亡くなったときの相続手続き
 
 
こうしたタイミングで、

「どこかで家族に知られる可能性」

はゼロではありません。

だからこそ大事なのは、
 
 


今の状況のままで“親に知られにくい形で”整えられる備えと

将来どこかのタイミングで親やきょうだいに話す前提で設計した方がよい部分

==
 
 
を、分けて考えることです。
 
 
例えば、

・日常の生活費や家賃の分担ルール

・もしもの時に誰にどう連絡してほしいか

・医療や介護の場面で、どこまでパートナーに任せたいか

こういったことは、パートナーシップ契約や専門的な契約で比較的整えやすい部分です。
 
 
一方で、

・親の相続と、自分の遺言をどう両立させるか

・パートナーへの遺贈と、法定相続人とのバランス

といったテーマは、親族との関係や価値観によって設計の仕方が大きく変わってきます。
 
 
結論として、カミングアウトの有無と全く関係なく契約をする事は出来ます。
 
 
その上で、

「いまの状況のままで、どこまで備えておくと、自分たちが少し楽に息ができるか」

こうした事を中心に少しずつ整理していく事をお勧めします。
 
 
制度と契約の違いや、どこから先が「契約で整える部分」なのかについては、これまでの投稿でも触れていますので、よければ併せて読んでみて下さい。
 
 
「カミングアウトの状況を前提に、どこまで・どんな順番で備えていくのが現実的か?」

というところからのご相談も、お受けしています。