制度だけじゃ足りないのは何となく分かる。
でも、どこから先が
「契約で整える部分なのか?」
分からない。
ご相談される方のきっかけで、
一番よく出てくるのがこのモヤモヤです。
自治体のパートナーシップ制度は、
二人の関係を公に認めてもらう、とても大切な一歩です。
ただ、制度そのものには「法律上の婚姻と同じ効力」があるわけではありません。
制度でできることは、ざっくり言うと
・自治体に「二人はパートナーです」と届出・登録しておくこと
・その証明書をもとに、一部のサービスで配慮を求めること
という役割が中心です。
(どこまで配慮してもらえるかは、自治体や連携先のルール次第になります)
一方で「契約で整える部分」は、二人の暮らしそのものに関する具体的な約束ごとです。
例えば…
・生活費や家賃・住宅ローンをどう分担するか
・貯金や保険・退職金などを、将来どう扱うか
・病気や事故のとき、誰がどう判断してほしいか
・もし別れることになったら、どう整理するか
こういったことは、制度だけではカバーしきれず、パートナーシップ契約や任意後見契約・遺言・死後事務委任などを組み合わせて「形」として残しておく必要があります。
なので境界線の目安としては、
・制度…「二人の関係がここにあります」と公の場で示すための土台
・契約…「お金・権利・責任・もしもの時の判断」を具体的に決めておくための土台
というイメージで考えてもらえると、少し整理しやすいかもしれません。
大事なのは、
「あれもこれも整えないとダメ」
という発想ではなく、
「自分たちの関係性や家族との距離感だとどこまで整えておくと、二人とも安心して暮らせそうか?」
を一緒に考えていくことだと感じています。
制度と契約の違いについては、他の投稿でも解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
2人の関係性はそれぞれです。
考えやニーズもそれぞれ。
そうした千差万別の関係性とニーズをくみ取り、
現行法の枠組みの中でできる最大限の契約を複数組み合わせ、
法律婚に準じた法的な立場と権利関係を作る事で、
同性カップルの方々が抱える不安を
“安心と笑顔”に変えていく事が出来るのです。