記憶:側頭葉
記憶:長期記憶、短期記憶

長期記憶:海馬
短期記憶:脳の各所に一次保存、新しい情報を意識上に貯めておく能力
     時間的長くて10秒程度(即時記憶)

陳述記憶:意識に再生される記憶、記憶の保持時間によって、短期記憶、長期記憶に分けられる
非陳述記憶:行為に再生される記憶
      イメージや陳述としては再生されないが、行動に再生される記憶
      行動(運動)を伴う運動記憶(学習)

長期記憶:エピソード記憶、意味記憶に分けられる

エピソード記憶:自らの生活行為における時間情報、場所情報、感情経験を伴う
意味記憶:概念形成そのもの


意味記憶システムと失行症
意味記憶とは言語使用に必要な記憶、言葉やイメージとして意識にのぼる
意味記憶の障害では、貯蔵障害、アクセス障害を見極める必要がある

カテゴリー特異性意味記憶障害:
課題となる対象が生物である場合と非生物である場合に成績が異なる

意味記憶障害の責任病巣:側頭葉(上側頭回)、Wernicke失語の病巣
エピソード記憶障害の責任病巣:側頭葉内側部(特に海馬)、健忘症候群
選択的意味記憶障害の責任病巣:側頭葉領域
人物名の呼称:左側頭葉先端部領域の損傷

観念失行:
物品使用に関する意味的な記憶の喪失
連続した行為の障害
道具使用の概念知識の障害(執行概念系)
視覚記憶システムにおける概念知識の喪失


顔認知と相貌失認
ヒトの顔の同定に至る過程を4つに分類
1)顔の形態的な特徴を記述する構造的符号化
2)知っている顔か否かの判断(即知性判断)をする顔認識ユニットの活性化
3)個人の意味情報にアクセスする人物同定
4)名前の生成

背側経路「どこ(where)」:後頭葉から頭頂葉に向かう位置情報と動きの情報
腹側経路「何(what)」:後頭葉から側頭葉に向かい、物の形態、色彩の認知などの視覚対象

顔の認識:腹側経路
一次視覚野(17野)-下後頭回-紡錘状回(19野と37野)-上側頭溝内の皮質-海馬傍回
下後頭回:顔の造作の初期認識
紡錘状回:顔の同定
上側頭溝内の皮質:表情、目、口の動き
海馬傍回:名前との結び付け


相貌失認の責任病巣:視覚情報処理機構における腹側経路が障害された場合
右半球に多く、左半球では見た顔の固有名詞を思い出す役割を担っている


ワーキングメモリ(作業記憶)
記憶している情報を目的達成のために状況の変化に合わせて取捨選択、再生成などのダイナミックな操作を加える能動的な記憶のこと
短期記憶に属するものであるが、短期記憶とは異なる

中央実行系:情報を操作する機構
音韻ループ:言語情報を取り扱う機構
視覚・空間的スケッチパッド:視覚情報を取り扱う機構
この3つの機構を他の感覚情報、記憶ベースから自分の目的を達成するために必要な情報を生成

ワーキングメモリ:前頭連合野(46野)、頭頂葉、側頭葉との関連性も示唆されている


統合失調症:
注意力、記憶力、言語能力などが低下し、抽象的な思考が苦手
行動の目標設定し、柔軟かつ計画的に実行する実行能力も低下している
46野周辺の容積が減少している


- 参考図書 -
リハビリテーションのための認知神経科学入門 森岡 周 著