大はらや蝶の出てまふ朧月

榾の火やあかつき方の五六尺

 

 

峠越す鴨のさなりや諸きほひ

 

うづくまる薬の下の寒さかな

 

暁の墓も揺るぐや千鳥数寄

 

石経の墨を添へけり初時雨

 

ことづても此とほりかや墓のつゆ

 

ゆりすわる小春の海や塚の前

 

木がらしの身は猶軽し夢の中