FUKUSHMA MON AMOUR

 

少年や六十年後の春のごとし   耕衣

 

 

     西行の和歌を借りて 言寄す

 

 

ひまもなきほむらのなかの苦しみも

心おこせば悟りにぞなる

 

光させばさめぬ鼎の湯なれども

はちすの池になるめるものを

 

知れよ心思はれねばと思ふべき

ことはことにてあるべきものを

 

おろかなる心の引くにまかせても

さてさはいかにつひの思ひは

 

すさみすさみ南無ととなへしちぎりこそ

奈落が底の苦にかはりけれ

 

朝日にやむすぶ氷の苦はとけむ

むつのわをきくあか月の空

 

たかをでらあはれなりけるつとめかな

やすらひ花とつづみうつなり