兄といもうと、父と娘と その秤不意に傾ぎて海鳴りきざす

 

屋根越ゆるけもののごとくひとり娘を娶りゆきたり冬のわかもの

 

一期なるおもひ湧きくる日々にしてめつむればなお群靑ぞ濃き

 

その父のほほひげは濃しきぬぎぬのいまは冷ゆらむ藤若・蘭丸