これは、今月のケースカンファランスのテーマ。
ケースを通して、1つのテーマについて考える月に1度のカンファランス。
今回は平間Nsと清水Drが担当。
4月4日に初診、6月16日に亡くなるまで、短いおつきあいだった患者さん。
ご家族の独特のキャラクターと、外からは把握しにくい外部のキーパーソンの存在が、診療やケアの方針の共有を難しくしていた。
診療スタッフも、訪問看護師も、患者さんとご家族にとってベストの医療を提供しようと努力したが、その思いが最後までうまく伝わることはなかった。
なにがいけなかったのか。
今となっては答えはわからないが、みんなで考える、という経験ができたことはとてもよかったと思う。
このような特殊なケースのみならず、医師と患者の意思の疎通がうまく行かず、こちらが患者さんのために、と思ってやっていることが、患者さんにとっては、うまく伝わらないことは珍しくない。
臨床医、看護師、そして患者さんに関わるすべてのコメディカルスタッフには、コミュニケーション能力を磨く努力が求められる。
清水Drからは、コミュニケーションに関わるいくつかのキーワードが紹介された。
また、臨床の場で応用するための具体的な技術についても、メディカルサポートコーチングを中心に、いくつものヒントが提供された。
医療、特に在宅医療に関しては、患者さんの思い(story)に寄り添ったスタンスが求められると思う。
Narrative-Based Medicineという概念は、特に在宅医療において、常に意識しなければならない。
医師は病気を治療するためのトレーニングを受けてきている。
気がつくと、患者さんの存在を置き去りにし、Evidence-Based Medicineを頼りに病気だけを治療しようとしてしまう傾向がある。
我々は、まず、患者さんの想いに耳を傾け、同時に患者さんにとってベストの治療方針を考え、その両者をうまくすり合わせていく必要がある。
コミュニケーションとは、あくまで双方向のもの。
我々は、理想の治療方針を一方的に伝えようとするのではなく、患者さんやご家族からの言語的・非言語的メッセージを五感で感じ取る努力をしなければならない。
それには時間がかかるかもしれない。
しかし、それを無視して、本当の意味での信頼関係に基づく診療契約は結ぶことができないだろう。
今回のケースカンファランスを通じて、在宅医療の根本的な考え方を再認識できた。
こんな感じで、来月も有意義なカンファランスができるといいなあ。