昔、映画見に行きましたよ。結構面白かったです。WOWOWで放送されないんだよねぇ~残念。

1764年の6月から約3年間にフランスのジェボーダン地方で約100人もの女性や子供が正体不明の獣に食い殺された事件は、いまだに真相が明らかになっていない事件です。以下、ソニー・マガジンズ発行ヴィレッジブックス「ジェボーダンの獣」ピエール・ペロー著 佐野晶さん翻訳の高橋正男さんによる解説文より。

フランスの南東部に位置するジェボーダン地方はロゼール県の大部分とアルデーシュ県とオート・ロワール県の一部を含んだ旧行政区の名称である。

まず1764年6月29日にジェボーダンのヴィヴァーレ地方で14歳の少女の惨殺死体が発見された。骸は獣に食い殺されたような目を覆いたくなるほど惨い状態だった。この事件によって人々は恐怖し「獣は子牛ほどの大きさで、気性は激しく力強い。頭部は異常に大きく、耳は直立し、鼻面はグレートハウンドのように細長い。口は大きく割れて巨大な牙が突き出ている。足には鉤爪があり、背中には頭部から尾まで走る太い一筋の縞がある。走るときは地響きをたてて、長い尾を舵のように振って馬のようにスピードで走る」などと多くの目撃情報によって勝手な獣像を作り上げ、恐怖による様々な憶測が飛び交った。

その証言のひとつに、獣と組み合ったと言う者がいて、彼が「獣の腹部にボタンのようなものが見えた」と証言したことから「獣は人間ではないか?」という疑惑ももたれた。

事件はフランス全土に伝わり、国王ルイ15世は騎兵連隊のデュアメル大尉を獣退治に派遣したが、数回の大掛かりな捜索の末に何も得るものはなかった。続いて狼狩りの名手デンヴァルが派遣されたが、やはり成果はなかった。さらにルイ15世の射撃部隊長アントワーヌ・ボーテレヌが派遣されたが彼も同様に成果を挙げられなかったためにルイ15世は彼を解任しようとした。焦ったボーテレヌは、たまたま発見された大きな狼を射殺し、偽装証言を集めた上でこの狼を「獣」として国王に献上した。国王は非常に喜んだが本物の獣による虐殺は続いた。

ジョボーダン地方の領主ダブシェ侯爵が立ち上がった。ある日、猟師のジャン・シャステルが銃を片手に聖書を読んでいると目の前に大きな獣が現れた。シャステルは銀の弾丸を込めた銃を発射すると獣らしきモノは死んだ。シャステルはコレこそ本物の獣だとしてヴェルサイユに赴いたが、暑さで獣の死体の腐敗が進み国王に謁見できないままに処分されてしまった。そのためシャステルが期待していた賞金を貰うことができなかった。

しかし・・・獣による虐殺は、これ以降起こることがなかった。

無能なルイ15世治世のフランスは、宗教戦争による戦乱につぐ戦乱によって人々の心は疲弊していた。国民は重税に打ちひしがれ、貴族や豪族も不満を露わにした。こういう社会状況下での「ジェボーダンの獣事件」は様々な憶測が飛び交ったのだ。

社会的な謀略には非科学的なことを信じさせて民意を操るという手もあるんですね。ネット社会のデジタルな現代でも十分に起こりうることです。