「我々は皆 迷いながら人生を送っている。本当の自分は何者か 居場所はどこか…人は孤独ではない? 大昔の氷河期の頃はそうだったかもしれない 今は氷河が溶けて我々は皆 孤島に独りだ。 世界は孤島ばかりになった…」

キューブリック自身が”アマチュアの作品”として忌み嫌い、自費でプリントを全部買い上げて封印してしまった「恐怖と欲望」を見ました。

物語は「飛行中に敵に撃たれて、不時着した場所が敵陣で、そこから脱出をしようとする4人のお話」なのですが、台本も役者の演技も衣装さえも何もかも自身が言うように「緩い」アマチュアな学生映画っぽい作品になってしまっています。特に間延びしたコマ割りにはがっかりしちゃいます。

僕は、意味ありげなカメラワークやモノクロ作品ならではの光と影を活用した演出に音楽、さらに冒頭のような言葉を役者に独白させるなど、ある意味文学的で芸術的であると思います。

素晴らしいのはヴァージニア・リースという女優さんの美しさです。何てことない物語とは関係なく、彼女の美しさが森の中を彷徨う4人の小人と白雪姫という幻想的な雰囲気を醸し出しています。

この女優さん、死に顔が一層美しくて、このあと「美しき生首の禍」というB級ホラー映画にも出演しているようで、なるほどなぁ、B級ホラー向きだよなぁなんて思っちゃうのです。ほんで、その映画もぜひ見てみたいのです。