ライブに至るまでの流れで二件になるとは思わなかった。自分で驚いたわ。
スタート五分前になった辺りからもう内心ではそわそわ。自分にとっては『ホワイト』以来のワンマン。もっと言えば今のスタイルになってからの豚乙女を生で観る初めてのライブである。
三人(一人と一頭と一羽)になってから初めてディスプレイ越しではなく肉眼で目にする生ライブ。キーボードもシェルキーも無く、マスクを着用してコール&レスポンスも出来ないライブ。
どんな感情で一曲目を聴く事になるのか。嬉しい気持ちと楽しみな気持ちには嘘偽りは無いけれど、自分はいったいどうなるんだろうか。そんな気持ちの中、スタートの時間が遂に訪れた。
会場のBGMが止まったと思った次の瞬間、聴き慣れたコンプさんの声がスピーカーから鳴り響く。その瞬間、おかしな話だけども『あぁ、大丈夫だ。きっと楽しいライブになる』と思った。何でかは自分でも分からないのだけれど。
「あ、帰ってきた。帰ってこれた」
何故か瞬時にそう思った。
その後、新しくなったSEが流れると共にステージに立つ豚乙女のメンバー。新衣装の皆様を見た瞬間はやっぱり目が潤んだ。イベントの長テーブル越しじゃなく、ステージに立つ豚乙女の皆様。このあと『ライブ』が観れるんだ。
コンタクトが涙で落ちるのが嫌だから、万が一に備えてポーチに入れた眼鏡に頼る事の無い様に必死で涙を堪えた。そこにはコロナ禍前の姿と変わらない豚乙女のメンバーの姿があった。
ランコさんの挨拶と同時に、何度も何度も部屋のスピーカーや移動する車内で聴いていた『饗縁』のイントロが流れ始めた。
ランコさんの声と同時に、声を出せない中で腕を大きく上げながらフロアーをその場で心の声を出して飛び跳ねるpiggy。
そうして『デリケート』新潟ツアーの幕が上がった。