「はい、これ。君の…だよね?」
「え…?」
見とれてる間に、いつの間にか沖田先輩が目の前にいて、あたしの鞄を差し出していた。
「これ、この鞄。君のでしょ?」
違うの?と、首を少し傾げた沖田先輩に
「あっ…あたしの…です」
鞄を受け取った。
「うん、それじゃぁね」
鞄は落とさないように…と、笑顔をくれた。
「あ、あのっ!!」
咄嗟に沖田先輩の腕を掴んだ。
「ん?なにかなぁ?」
顔だけ、あたしに向けた。
「あ、あたし!!先輩に一目惚れしましたっ!!」
気付けば、そう叫んでた。
「ちょっ、理心っ!?」
留美は驚き
「なに、あの子…」
回りにいた女子には冷たい目で見られた。
「君、おもしろいね。名前は?」
「理心…理科の理に、心って書いて理心っていいますっ!!」
更に叫べば
「理心ちゃん、ね。可愛い名前だねぇ。でも、僕年下に興味ないんだよねぇ」
ごめんね?と、謝る沖田先輩は、やっぱり笑顔だった。
「僕もう行かないと。じゃぁね?」
あたしの初恋は…呆気なく終わった。
つづく…。