「いちいちお前は可愛いんだよ」
「かわ…っ!!」
今、あたしは左之さんの胸の中。
「奈緒が嫉妬とか嬉しいけどさ、俺もう限界きそうだからそれ以上変なこと言うなよ」
嫉妬…嬉しい…
「なに、ニヤついてんだよ。ほら、行くぞ」
腕を引かれ、あっという間に総司のお墓の前にいた。
「総司、お前に会うのはこれで2回目だな」
お墓を見つめながら総司に話しかける左之さんを、あたしは見つめた。
「お前が大切にしてた、守りたいと思った奈緒…。俺が総司の分も一生守り抜いてやるから。一生大切にする、約束する」
そう言って、ゆっくりとあたしを見た。
「さ、の…さん?」
「奈緒」
しっかりとあたしを捉えるその瞳。
「原田奈緒になってくれますか?」
そう言って、小さな箱を出し指輪を取り出した。
「………っ、うっ…」
1番最初に総司とのことを話して、その時に言った総司からのプロポーズ。
それを左之さんが覚えててくれてて、同じセリフを言ってくれた時、もうあたしの視界は歪んだ。
「総司の分も幸せにしてやる」
「さ…の、さ…んっ」
しゃくり上げるあたしの声は、うまく喋れなかった。
つづく…。