305号室の男 73 | ★妄想変態恋愛小説★

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「いちいちお前は可愛いんだよ」



「かわ…っ!!」



今、あたしは左之さんの胸の中。



「奈緒が嫉妬とか嬉しいけどさ、俺もう限界きそうだからそれ以上変なこと言うなよ」



嫉妬…嬉しい…



「なに、ニヤついてんだよ。ほら、行くぞ」



腕を引かれ、あっという間に総司のお墓の前にいた。



「総司、お前に会うのはこれで2回目だな」



お墓を見つめながら総司に話しかける左之さんを、あたしは見つめた。



「お前が大切にしてた、守りたいと思った奈緒…。俺が総司の分も一生守り抜いてやるから。一生大切にする、約束する」



そう言って、ゆっくりとあたしを見た。



「さ、の…さん?」



「奈緒」



しっかりとあたしを捉えるその瞳。



「原田奈緒になってくれますか?」



そう言って、小さな箱を出し指輪を取り出した。



「………っ、うっ…」



1番最初に総司とのことを話して、その時に言った総司からのプロポーズ。



それを左之さんが覚えててくれてて、同じセリフを言ってくれた時、もうあたしの視界は歪んだ。



「総司の分も幸せにしてやる」



「さ…の、さ…んっ」



しゃくり上げるあたしの声は、うまく喋れなかった。



つづく…。