僕の家、まあマンションなんですね。
     
で、このマンションの道を挟んで向かいの家が、改築工事をしてる。
そこで、「おばあさん」と呼んでも許されるくらいの女性が警備員をしている。
       


あえて、おばあさん、と呼ばせていただく。
このおばあさんが素晴らしいんです。


僕ね、最初、
こんなおばあさんが警備員をして働かなきゃならない社会ってどうなんだよ、
っていう憤りを感じてた。
小さくて、細くい体に、警備員服に白いヘルメットを被って、
ほんとうに可愛らしいおばあさんで・・・・
できる事なら、なんにも仕事なんかせず、ゆっくり暮らしてほしい、って思った。


ただね、この、おばあさんが、

楽しそうなんです。


毎日いる。

  
工事とまったく関係のないただ向いのマンションの住人ってだけなのに、僕がでかける時、かならず、
  
「いってらっしゃいませ」
って声をかけてくれる。



帰ってくると、
   
「お帰りなさいませ」
って声をかけてくれる。


それだけ、なんだけど。


声をかけてもらえる事がやっぱり嬉しいわけです。
それも楽しそうに声をかけてくれるわけです。


おばあさんがその工事に来るようになって、2週間くらい経つんだけど、
もう、すでにご近所の人たちは、そのおばあさんと立ち話をするようになってる。
で、前を通るとみんなおばあさんに挨拶をしていく。
しまいに、お茶など、差し入れをしている人もいる。

  
家の前の道で、こんなふうに近隣住民が挨拶をしている、
交流している声を頻繁に聴くのは、ここに住んで初めてのこと。

     
そうするとね、

工事が多少音がうるさかろうが、、
おばあさんの工事現場だ、って思うと、なんだかもう大目にみちゃおう、ってなるわけです。
このおばあさんに建築会社がいくら支払ってるのか知らんけど、
効果絶大、です。

これこそ、が、仕事、志事、だとおもいます。
    

   
だから、その建築会社に、おばあさんが素晴らしいという連絡をしようと思います。


で、、話もどって、、、、

こんなおばあさんを、あんな寒空の中ずっと立ってる仕事をさせなければいけない社会ってどうなんだ、、

と思っていたわけで、正直、やっぱりね、それが正しい事とは思えない。


ただ、僕に食べ物の大切さを教えてくれた、実家の前の畑でずっと働いてた本木さんのおばあちゃんだって、
当時でもそこそこの年齢だったと思うけど、嬉々として働いてた。
   
そう考えると、
   

  
おばあさんなのに、と思った僕が失礼なのではないか、
きっと生活もそれなりに苦しくて、こんな肉体労働をしなければいけないのだろう、と勝手に決めつけているだけではないか、、
ただ、そういう仕事をしていたいだけなのかもしれない、

なんて気もし始めるのです。



昨日も  

  
いってらっしゃいませ
おかえりなさいませ
  
僕は昼のうちに2回出かけたので、
 
2回づつおばあさんに声かけていただきました。
  
ほんとうに温かい気持ちになれました。
人間の声かけってすごいんだ。

       
おばあさんに、、、
素敵な挨拶がある毎日を、心から感謝。

世の中を明るくするために、
誰でもできること
そして、ほとんどの人ができていないこと。