
徳永英明さんが美声を聴かせていた。
もういない人の笑顔が脳裏をかすめた。
とても悲しくなった。
悲しくなったので鼻歌を歌ってみた。
スタジオのモップをかけながら、歌ってみた。
思考がどんどん沈んでいくのが分かった。
そんな自分にほとほと嫌気がさした。
幼い頃の記憶が震えている。
もしあの頃私が子供じゃなかったら、どうだったろう。
優しくされると嬉しい。
嬉しくて切ない。
自分が思う程にあの人は
自分を思っていなかったろうと思って切ない。
誰かにとっては社交辞令だったり、責任感だったり。
勘違いだらけの思い出に赤面する。
何処までも続くこの寂しさには、いつか終わりがあるのかな。
異常なまでのこの執着から、逃れられる日が来るのだろうか。
孤独な自分を持て余して暴走する。
どう消化すればいいのかが分からない。
誰かが私に言った。
私の寂しさがなくなれば、私が芝居をする必要もなくなるだろうと。
確かにそうかもしれない、と、思った。