両国を離れなければいけないなら、やっぱり門前仲町に住みたいです。

 

こんにちは。両国部屋の見習い女将のこかみです。

9月1日は、こかみと夫で見習い親方のげんげんの記念日です。

 

さかのぼること、何年か前の9月1日。

 

「こかみさん、おいどんと一生両国に住んでください!!」

「げんげんさんと両国に住むでごわす。2人の終の棲家にするでごわす」

という会話があったり、なかったり。

 

時は流れて2020年9月1日。

 

「今日は記念日やから、こかみと一緒にてんぷらを食べるで。是山居を予約したで」

張り切るげんげん。

「やったー!是山居に行くのはたぶん2年ぶりくらいだね」

おいしいてんぷらを思いだしてわくわくするこかみ。

前回は、げんげんの誕生日に行きました。

 

東京メトロ東西線門前仲町駅徒歩8分。

閑静な住宅街の一角にある「みかわ是山居」の外観。

「プロフェッショナルの流儀」(NHK)のほか、

さまざまなメディアで取り上げられている

“伝説の職人”店主・早乙女哲哉さんによるてんぷらの名店。

ミシュランの星も獲得しています。

 

「こんばんわ。予約したこかみとげんげんです」

「お待ちしておりました」

 

予約は19時。

お店には続々とお客さんが入ってきました。

是山居のてんぷらは、定刻に一斉スタート。

カウンターに並んだお客さんみんなと同じてんぷらを同時に食べます。

 

まずは、ビールで乾杯!

記念日のビールは最高だ!

この日の天つゆは、爽やかな夏バージョン。

大根おろしをたっぷりまぜていただきます。

 

まずは車エビ。中心の温度は45~47度を目安に揚げるそう。

この温度で揚げることで、エビの甘みを最大限に堪能できるのだとか。

研究に研究を重ね、食材によって揚げるころあいを変え、

素材の最大のうまさが味わえる瞬間に私たちの目の前に提供してくれます。

それを間髪入れずに食べる!

 

ぷりぷりを通り越して、ぷちぷち!!

 

「やっぱり是山居のてんぷらは別格や。

こかみは、プロフェッショナルを見て勉強してきたんか?」

目を閉じ、この上ない幸せを感じながらも、聞いてくるげんげん。

「見ていないよ。あ~、美味しい。幸せ。ふぁ~ふぁ~、ふぁ~」

ほとんどげんげんの話は聞いておらず、

至福の境地に身を置くこかみ。ふぁ~と何度ため息がでたことか。

 

うにの大葉巻き。うにのてんぷらは、この店以外で食べたことないです!

あつっ、ふぁっつ。

 

立派なマツタケのてんぷら。まつたけの天ぷらなんて生れて初めて!

す、すごい香りや……!

たっぷり、大根おろしをのせて。

びよ~んとながいあなごのてんぷら。

目の前で店主が真っ二つに切ってくれます。その時の音……。

この世に、こんなおいしそうな音があったのか!

最後に、店主の早乙女さんが「てんぷらやの手のうち」を

一組一組の目の前にさっと置いてくれました。

 

こかみの近くに置いてあった猫。

早乙女さんのこだわりは、てんぷらだけでなく、

皿、床や天井、テーブル、一つ一つの置物まで及びます。

 

最高のてんぷらに舌鼓を打ったこかみとげんげん。

こんなにも喋らないで美味しいことに集中することはなかなかありません。

1年に何回かは、静かに、美味しいものに対して

五感を集中させる時間もありでごわす、一人思うこかみなのでした。

 

帰り際。

「また2年後にご褒美として来ることが目標やで」

とこれから2年間の間に乗り越えないといけない壁があることをにおわせるげんげん。

「やだよ。半年後に来ようよ」

人の目標をいとも簡単に無視するこかみ。

 

みかわ 是山居さん、伝説の職人の味をありがとうございます!

 

【みかわ 是山居】

住所/東京都江東区福住1-3-1

電話/03-3643-8383

 

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最近見た映画(たしか6月くらい)

『許された子どもたち』

『先生を流産させる会』や『ライチ光クラブ』『ミスミソウ』など、

ムナクソ映画で知られる内藤 瑛亮監督による自主映画。

もともと学校の先生だった内藤監督。

1993年に起きた山形マット死事件に構想を得てずっと温めていた作品だそうです。

登場人物は、演技経験など関係なく、

顔の作り、表情、たたずまい、癖、個性などを重視してオーディション。

ジャニーズのかっちょいい奴とか、売り出し中の美女とかは一切登場せず、

すべての子供たちが、自分のすぐ近くに存在していそうな子たちばかり。

だからこそ、ものすごく生々しい。だからこそ、怖い。

作り物なのに、本当に起きていることを目の前で見せられているような感覚に陥りました。

一つとして、救いなんてないのに、あったまくることしか描かれてないのに……。

監督はインタビューで「カタルシスを作らなかった」と答えていたけど、

エンタメと考えればやはり素晴らしくよくできていて、

ずっとこの映画の世界に浸っていたい……終わらないで。

怖いけど、こかみは、ある種のカタルシスを得てしまったのでした。