わたしはバツ1です。

別れた原因はセックスレス。

結婚前から薄々この人じゃないってわかってた。

けど、周りの顔色伺うクセでそのまま結婚。

結婚してからね、犬を飼いだした。

ほぼほぼ独断的に。

その犬はね、フレンチブルドック。

パイド柄の可愛いワンコ。

名前は部長。

結婚当初上手くいってる時にはね夫婦で可愛いがってた。

それこそ我が子のように。

しつけの本を買って、そこらへんの言うこと聞かない犬にはしたくないと思って必死。

しつけ教室にもいったりした。

おかげで部長はしつけのいき届いた賢いワンコに。

けどね、夫婦の仲が上手くいかなくなってきてわたしの体が壊れだす。

健康体そのものだったわたしが急性胃腸炎になって救急車騒動。

それから心も体もきっと自分が気づかんうちに壊れだしてた。

可愛い部長を叩くようになった。

部長はそのたび悲しそうな目をして見てくる。

でもその顔が腹が立つ。

そしてまた叩く。

表向きは愛犬家気取ってるのに。

その部長がね、去年の1月に死んだ。

癌だった。

わたしのせいだと自分を恨む。

必死に看病するけど、心のどこかに憎い気持ちが沸き上がる。

そして部長は死んだ。

わたしの腕の中で。

悲しみとホッとした気持ちと複雑な感情だった。

今日実家に久しぶりに帰り両親と話す。

お酒の力も借りて会話が弾む。

わたしの高校時代の話しや父の仕事の話し。

母との馴れ初め。

この人達。。。

先見の明をもった神様だわ。

知らなかった。

わたしなんもわかってなかった。

すごすぎる。

しこたま飲んでお風呂に入った。

あーいい晩だったなぁ。

なんて思いながら。

そしたらね、部長がきたよ。

部長はね、わたしだった。

愛されてないと思ってたわたしだった。

わたしだったんよ。

わたしは部長を抱きしめた。

ありがとう部長。

ありがとう。

ありがとう。

ありがとう。