おはようございます。
常楽です。
今週もあなたを感情旅行に
ご招待させていただきます。
実際に体験するのは大変だけど、
映画でなら没入して
臨場感を感じると
それに近い体験ができます。
その体験が
心を豊かにしてくれます。
私と感覚が近い方なら、
より楽しんでいただけます。
さあ、感情旅行に出かけましょう。
■アンビュランス
今回の映画は、
『アンビュランス』です。
2022年アメリカ映画です。2005年デンマーク製作の「25ミニッツ」のリメイクです。
銀行強盗が救急車で逃げる、と言う状況が延々と続きます。通常であれば、銀行強盗犯の乗る車は、警察によって強制的に止められると思うのですが、この救急車に怪我人が乗っているため警察も簡単に手出しでないことで「延々と続く」となっています。でも、ただ延々と続くのではなく、意外なことが起きまくるので「どうなっちゃうの!?」と緊張しっぱなしで見続けちゃいました。
この映画は、あまり細かいことを気にせずにどんな展開になるのか没入して観るのが楽しい鑑賞方法だと思います。136分もあるので、どっぷり楽しめると思いますが、疲れてしまう人もいるかもしれません。私は、最後まで観ちゃった方です。
監督は、マイケル・ベイです。この人「ハリウッドの破壊王」と呼ばれていて、とにかく大迫力の映像が特徴です。”破壊王”の通り、とにかく壊れまくります。この監督のカメラワークはありえないようなアングルや動きをよくするので、それが大迫力映像を支えています。また、車の撮影が上手な人としても有名だそうで、とにかくカーアクションはすごかったです。代表作は、『バッドボーイズ』のシリーズ、『トランスフォーマー』のシリーズ、『アルマゲドン』(1998)、『クワイエット・プレイス』のシリーズ、です。自ら撮影することでも有名で、それは「どう撮って欲しいのかを伝えても、わかってもらえないから自分で撮った」ということだそうです。また、興行的にも大成功している人です。
物語のほとんどは、兄ダニーと弟ウィルと救命士キャムの間でのやりとりです。
主人公の一人は、兄役のジェイク・ギレンホールです。最近は悪役で登場することが多い人です。『ブロークバック・マウンテン』(2005)ではアカデミー助演男優賞ノミニーになってます。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)でも悪役で登場してました。個人的には『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』(2010)がよかったので、善良な役での出演を期待したいです。劇中では、悪い兄で、弟を銀行強盗に誘います。
弟役のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世は、『グレイテスト・ショーマン』(2017)、『アクアマン』(2018)、『マトリックス・レザレクションズ』(2021)等に出演しています。なかなかの実力派の人です。劇中では元軍人であり犯罪なんてありえない人ですが、病気の妻の治療費のために兄の誘いに他に方法なしと思って応じることとなります。
救命士キャムは、この映画の英雄です。ちょっと荒んでいても、命を助けることが最も優先されるべき、とする態度を貫くキャラクターには感動でした。演じるのは、エイザ・ゴンザレスです。『ベイビー・ドライバー』(2017)で有名になった人で、その後は『アリータ バトルエンジェル』(2019)、『ゴジラVSコング』(2021)などに出演しています。
違和感としては、劇中の兄ダニーは、お金をそこそこ持っているような感じでした。だから、弟ウィルが助けを求めてきても銀行強盗などしなくても応じられそうな感じだったのです。最も大きい違和感です。でも、兄ダニーが「銀行強盗できる銀行を見つけて、やったら計画通りうまくいくはずだから、やってみたい」と思っていたら、助けを求めてきた弟で人手不足を補おうとするのは理解できてしまうので、兄の悪人キャラから察すれば、違和感も問題なくなってしまうのです。
もう一つの違和感は、弟ウィルが、その人柄を考慮すると、どうあっても銀行強盗などはしない人であることは明白なのに、なんだかんだで銀行強盗している流れです。これは「映画の脚本にそう書いてあるから」であり、ヤーヤ・アブドゥルがその脚本に忠実に演じたから、と解釈することができます。その一方で、兄に貢献できる喜びがあったり、手っ取り早くお金を調達できる魅力に負けたとの解釈もできるので、う~ん、と振り上げた手を膝に降ろしてしまえるのです。
不適切な方法をした過ちを、不適切な方法で改善しようとすると、通常はうまくいきません。なぜなら、不適切な方法では個人的利益の実現しかできないからです。つまり「自分だけに善くて、誰かに犠牲を払わせているから」です。不適切な方法をしてしまったなら、それは適切な方法でしか改善できません。そういう当たり前なことを、ものすごい大がかりに教えてくれている映画だと感じました。
お読みいただき、ありがとうございます。
中村常楽でした。