おはようございます。常楽です。

 

今週もあなたを感情旅行に

ご招待させていただきます。

 

実際に体験するのは大変だけど、

映画でなら没入して

臨場感を感じると

それに近い体験ができます。

 

その体験が

心を豊かにしてくれます。

 

私と感覚が近い方なら、

より楽しんでいただけます。

 

さあ、感情旅行に出かけましょう。

 

 

 

■モーリタニアン 黒塗りの歴史

今回の映画は、

『モーリタニアン 黒塗りの記録』です。

 

2021年イギリス/アメリカ合作映画です。

第78回(2021年)ゴールデングローブ賞、最優秀助演女優賞(ジョディ・フォスター)受賞、最優秀主演男優賞(ドラマ:タハール・ラヒム)ノミネート作品です。

 

この映画は、端的にいえば、アメリカ国家ぐるみの冤罪事件の映画です。

 

監督はケビン・マクドナルドです。『ラストキング・オブ・スコットランド』を製作した監督です。この映画も、緊張感いっぱいの映画でした。その描き方にぐいぐい引き込まれます。

 

原作は、この映画の主役本人であるモハメドゥ・ウルド・スラヒの著書『グアンタナモ収容所 地獄からの手記』です。実話です。この手記を書くように勧めたのが、この人の弁護をした弁護士ナンシー・ホランダーです。

 

グアンタナモ収容所とは”悪名高き”と冠されるほど、拷問などの非人道的な行為がされているそうで、2009年オバマ政権のときに閉鎖を表明するも、何かの事情で難航し、現在も閉鎖に至っていません。場所はキューバです。

 

モハメドゥの冤罪事件は当時話題となりました。事件は次のような内容でした。

 

アメリカ同時多発テロ事件から2か月後の2001年11月、モーリタニア人のモハメドゥ・ウルド・スラヒは、義理の兄がウサマ・ビン・ラディン所有の電話から彼に電話をかけた、というだけで何もしていないのに、アメリカ政府によって拘束されました。そこから起訴されることもなく不当な拘束が続きました。

2005年2月に弁護士ナンシーが彼につき、彼を励ますことで2009年12月にモハメドゥがアメリカ政府を訴えることで裁判が始まりました。

弁護士ナンシーがアメリカ政府にモハメドゥの供述調書について閲覧要求すると、政府はそれを受けます。しかし、届いた資料にはたっくさんの黒塗りがありました。黒塗りが閲覧の条件だとしても、映画では、すべての文字が黒塗りされたページが何ページも続くシーンもあったりして、ほとんど事実がわからない中で弁護するしかない状況が伝わってきました。それでも裁判は公平で、2010年3月にモハメドゥの無罪を認める判決が下されました。その後、国が控訴したため、彼が解放されたのは2016年になってから。彼はおよそ14年間も起訴されることなく拘束されていたわけです。起訴されることもないなら拘束する理由などないはずですが、国家ぐるみならこんなこともできてしまうのかと思うと、おそろしいです。

 

当時のアメリカ政府は、同時多発テロの犯人を見つけて裁きを下すことで、国民感情が離れるのを、なんとしても防ぎたかったのでしょう。政府を人とすれば、個人的利益の追求であり、しかも他者の犠牲に払わせてその利益を実現しようとしているのですから、社会的に認められないのは当然です。しかし、その”社会”の基礎である国がやっているのですから、本末転倒な話です。

 

拷問は、モハメドゥが「私がやりました」と犯罪を認めるまで続きます。やってないことを「私がやりました」と言うことは、無理なことです。しかし、誰でもよいから犯人をつるし上げたかった政府は、拷問を続けます。肉体の痛みだけではなく、精神的苦痛や、精神が崩壊するような、いろいろな手法で。中には母親を痛めつけると脅すようなこともありました。

 

モハメドゥを有罪にしようとする政府側のスチュアート・カウチ中佐を演じるのは、イギリスの俳優ベネディクト・カンバーバッチです。彼は当初、出演予定はなく、プロデューサーに専念するはずでしたが、完成した脚本を読むと感銘を受け、自ら出演を願い出ました。カウチ中佐は、法律に忠実でありたいと望む人でしたが、上司のサイデル大佐に、何でもよいからモハメドゥを犯人として起訴するように命じられます。間に挟まれながら、苦しい描写が続きます。

 

冤罪はあってはならないと、改めて感じる作品でした。

 

もしアメリカ政府が、モハメドゥに協力関係を築く努力をして、モハメドゥに貢献する形でかかわることができたら、アメリカ政府もモハメドゥも共同体感覚が高まるような道を見出せたことでしょう。それならモハメドゥは、貢献してくれるアメリカ政府には進んで貢献したくなるでしょう。そうすれば、モハメドゥに犠牲を払わせずに、アメリカ政府が国民感情を離れないようにする方法も見つかったはずです。対等な関係での話し合いによる合意の形成ができれば、互いに感じるしあわせを増やせる道へと進めるのです。

 

ちなみに、モーリタニアはアフリカ北西にある共和国です。タコがよく獲れるそうで、日本もたくさん輸入しています。そのタコ漁を現地の人に指導したのは、なんと日本人だとか。東日本大震災では、義援金もくださったそう。意外に関係は深い感じです。

 

 

 

 

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございます。

中村常楽でした。

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

 







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









 

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