おはようございます。常楽です。
今週も感情旅行に
ご招待させていただきます。
実際に体験するのは大変だけど、
映画でなら没入して
臨場感を感じると
それに近い体験ができます。
その体験が心豊かにしてくれると
信じてます。
私と感覚が近い方なら、
より楽しんでいただけます。
さあ、感情旅行に出かけましょう。
■キャプテン・フィリップス
今回の映画は、
『キャプテン・フィリップス』です。
2009年にソマリア沖での貨物船人質事件で、実際に体験したリチャード・フィリップス船長本人が出版した本を元にこの映画が作られました。船長はトム・ハンクスが演じています。トム・ハンクスの演技が好きなので、観てみたら、その緊張感のある描写にぐんぐん引き込まれました。
ポール・グリーングラス監督作品です。この監督は、マット・デイモン主演の『ボーン・スプレマシー(2004)』『ボーン・アルティメイタム(2007)』などを手掛けた人だそうで、どうりで臨場感あふれる描写だったのかと納得です。照明や編集など秀逸で、違和感なく没入できました。
話は貨物船が海賊に襲われて、船長が自ら人質を申し出て、ネイビーシールズに救出されて終わります。映画のほとんどが人質時間なので、緊張が途切れません。それが引き込まれる理由かもしれませんね。自ら人質を申し出るだなんて、自分がその立場だったらどうするのかを感じてみると、なかなか重たいテーマです。でも船長は当たり前のように申し出ていましたので、すごい勇気だな、と感じました。
貨物船側は海賊撃退プログラムを事前に用意しているそうで、それに従って近づいてくる海賊に応じています。貨物船が船のまわりに一斉放水する姿はこの映画で初めて見ました。海賊は小さなモーターボートで近づいてきており、放水によって船に水を入れてしまえば、海賊ボートはスピードが出なくなるか、沈むことになるので、簡単に近づけない、ということだそうです。まあ、海賊はそれをうまくかわすのですが。
海賊は、普段は漁師をしている人たちで、ソマリア沖を通る貨物船の無線を傍受して、海賊ができそうなときに出撃する感じです。マシンガンなどの武器はお菓子でも売買するように調達できる状況で、それくらいに政治経済が非常に荒んでいるそうです。なぜ海賊などするのかといえば、それは単に「魚が獲れないから」です。
ソマリアは「アフリカの角」と呼ばれる国で、海に魚もたくさんいて、以前なら漁師は漁に出てそれで普通に生計を立てていました。しかし、戦争があって無政府状態となったときに、排他的経済水域がなくなってしまったのです。そこで他の国々が”ここぞ”とばかりに、大型で高性能な漁船でソマリアの漁場で漁をするようになりました(日本も行ったらしいです...)。そうして外国に魚を獲り尽くされてしまうと、ソマリア漁民は魚が獲れなくなって、生計が立たなくなってしまいました。国内では武器が流通していたので、初めはその武器で外国の漁船を追い払っていたそうですが、貨物船などの乗組員を人質にしてみたら、本当に身代金を払ってくれた国があったために、獲れない魚を追うよりも、他国の船をハイジャックして身代金をもらった方が確実に生きていけるとわかり、海賊として発達してしまった、という背景があるのだそうです。この映画は人質事件の描写にとどまらず、政治的な主張も含んでいるように感じて、意外でした。
映画の中では、海賊と乗組員たちの攻防が描かれていて、その場面場面で「こんなとき自分ならどうする!?」みたいに選択を迫られているようで、緊張しっぱなしでした。人質にされるだなんて経験したくありませんが、自分の軸を持つのは「出来事が起きてからでは遅い」ということだけはよくわかりました。やっぱり共同体感覚が高まるような軸を、今から持っていたいと思いました。日本にいれば海賊などせずとも生きていけることに、感謝を感じると同時に、そんな私たちだからこそできることは何だろうと考えさせられる映画でした。
お読みいただき、ありがとうございます。
中村常楽でした。