■貢献の相手は選べる

他者貢献することは
尊いことです。

相手に喜んでいただけたら
自分もうれしくなります。

そこで感じる
「相手の役に立った」
という貢献感

人生の豊かさを高めてくれます

しかし、
会う人すべてに
喜んでもらおうとしても
現実的には難しいです。

例えば、
対話、すなわち、
対等な話し合いができず
いつも一方的に考えを押し付けて
くるような人
に向き合うと
とても疲れてしまいます

なんとか喜ばせられないかと
思っていても、
結局その人の言いなりになって
あげることでしか喜ばせられない
なら
自分の大切な何かを
奪われているような感じさえ

してしまいます。

また例えば、
お金を貸して欲しいと言ってくる人
お金を貸すと喜ぶかもしれません。

でも、
今までに貸した分を
返してもらう前に
さらに何度もお金を貸していたら
自分が破綻してしまいます。

いくら相手が喜んでも
自分が破綻してしまうのは
自分の自立を維持する責任を
放棄してしまうこと
になります。

それは致命的なことに
なりかねませんから
ちゃんと自分を律する必要
あります。

それが自分自身と
自分を大切に思ってくれる人への
果たすべき責任です。

つまり、
他者貢献の相手は
自分で選んで良い
のです。

■地域の役員になったAさん

地域の役員になって
役員会に出席しなければ
いけなくなったAさん

役員の任期は2年で
地域の人が持ち回りで
引き受けることになっており
今回はAさんの番になりました。

はじめてのことで
右も左もわからず
役員会へ出席します。

出席を重ねるうちに
理事長になった人に
違和感を感じるようになります。

最初はおだやかに
他の役員の人たちの話も
聞いていた理事長は、
だんだんと自分一人の判断で
役員会を進めるようになり

他の役員の人たちも
役員としてどうすると良いのかが
よくわからないため反論もなく
事実上、理事長の独裁状態
なっていきました。

話についていけないAさん
理事長に質問してみました。

自分の理解があった方が
自分が役員会の役に立てると
思ったからです。

しかし理事長から
思わぬ返事がきます。

「とにかく、言う通りにしてください」

物腰やわらかく言われた
そのセリフの意味を
その場では理解できず
混乱した状態で帰宅。

その夜は脳が興奮状態のようで
どうにも寝付けずに
苦しい夜をすごしました。

確かに理事長の進め方は
独裁ではあるものの
やっていることは
地域の役に立つように
してくれているので
他の役員の人たちも
その態度に不満があっても
やることには反対しないため
結果その独裁を公式に認めている
ような状況
です。

しばらくして
Aさんは、役員だから
自分も役に立てるようにしたいと
思っているのですが、
理事長「それはいらない」と
一刀両断された
ことに気づきます。

その後も質問したり
自分の意見を言ってみたりしますが
すべて理事長にはねかえされるか
理事長が採用して理事長の意見として
使われたり
で、
もう何が何だか、
頑張れば頑張るほど
大切な何かが失われていくような感覚


他の役員の人たちも
似たような雰囲気。
怖くて訊けないけど。

それならなんで自分が
役員会に居るんだろう?

他の役員の話を聞かないなら
どうして役員会などやってるのか。

あれこれ疑問
どんどん湧き出てきて
混乱が混乱を呼ぶかのように
Aさんの心は乱れていきました。

心の乱れはAさんのみならず
家族にも及びます。

忘れ物が増えたり
約束をうっかり忘れてしまったり
お買い物で買いたかったものを
買わずに帰ってきたり、
反対に思いつきで買ってくると
当初の予定を思い出して
買わなくてよかったものと気づいたり。

今までしないような失敗を
よくするようになりました。

そんなAさん家族が助けるのですが
それが各自の生活に支障をきたすように
なってきて、役員でいることが
とても苦しくなってきました。

次の役員会のことを思うと
何も手に着かなくなってしまい、
周囲にも迷惑をかける始末。

話を進めていくと
Aさん自分も役員会の
役に立ちたい
、という思いと、
理事長に独裁は間違ってると
理解させたい
、という思いが
あることがわかります。

自分も貢献したい
そんな思いを抱えながらも
どちらもどうやったら実現できるのかが
わからなくて苦しい、という状況です。

しかし、
そのために家族に迷惑を
かけてしまっていることも
わかっているから、余計に苦しくなります。

-Aさん、理事長とは
どんな関係になっていきたいですか?


「え?そうですね。
あまり会いたくないので
ぶっちゃけ、
関係を持ちたいとは感じません。」


-なるほど。
ご家族とはどんな関係に
なっていきたいですか?


「それはもう、
一緒にしあわせになっていきたいです。」


-そうなんですね。
今のAさんの状況は、どんな感じですか?


「え?えー、そうですね。」

しばらく考え込むAさん

うつむいていろいろ感じている様子。

そして「あ」と声を上げます。

「今、自分を振り返っていたんですけど、
私、ほとんど理事長のことばかりを
考えていました。ああ、なんて!
すっごく嫌なのに、どうして!?
私は家族が大事です。なのに実際は
家族が大事にできていません。
なんかもう、それを考えると
ああ、もう、どうして...くやしいよ。」


涙があふれます。
そして、思いもあふれてきます。

「理事長があまりにおかしければ
誰かが声を上げるはずです。
でも今はやること自体は問題と
見られていませんから、
やることは大丈夫だと思います。

その失礼な態度に
私は怒っていたんですね!
今よくわかりました。
私は自分の力を
認めて欲しかったのだと思います。

私だって努力しているんだと
認めてもらいたかったんです。

でももう、そんなこと
どうでもいいです。

役員の任期が終われば
今の関係も終わるので
理事長はやがて離れていく人です。

その理事長のために
今まですごい時間を使ってきました。
家族まで巻き添えにして!

もうこれ以上は嫌です。
本当に嫌です。

役員会には役員の義務を
果たすことを目標にします。

そして、私は
家族を大事にします!」


その瞳には
強い力が宿っているように
見えました。

※Aさんは架空の人物であり、
内容は今までの複数のセッションを
再構成したものです。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ9年目、常楽でした。