マイクロエース製の智頭急行「スーパーはくと」の中間普通車HOT7030形を改造した半室グリーン車のHOT7050形タイプも加工終盤を迎えましたが、ベースにした車両のカプラーが手持ちセットと異なり相互に連結できません。丁度良い機会ですので、手持ちセットを含めカプラーの見直しをしてみました。

 

手持ちの『智頭急行HOT7000系 特急「スーパーはくと」1次車登場時6両セット』(品番A2050)は、新品購入で製品本来のアーノルドカプラーのままです。

 

半室グリーン車の改造ベースになっている車両は中古品で、密自連形のBMTNカプラーに交換されており、アーノルドカプラーはホルダーごと外されて付いていませんでした。このため、セット車両とは連結できません。

 

実車では、電車と同様に電連一段の密連形が装備されています。上記製品には、BMTNカプラーが装着可能ですので、TOMIX製のJC6324 密連形TNカプラー(SP 電連1段付き グレー)に変更するのが最適ですが、7両で12個必要ながら1個300円(税別定価)と高価なことと入手性にも難があります。

 

一方、セットにはカプラー交換するためのアダプタパーツが添付されています。

添付品の内訳は、左側からKATOカプラー密連形B(グレー)に交換するためのT車用アダプタ(12個)と台車取付部が角形をしたM車用アダプタ(2個)、BMTNカプラーに交換する際に貫通型先頭車(HOT7020形)に使用するスカート(1組:2個)、同車両用の白色カバー形ダミーカプラー(1個)です。

 

アダプタ使用で交換できるKATOカプラー密連形B(グレー)ならば、20個入りで400円(税別定価)とコスパに優れ入手性も良いので、これに変更することにしました。マイクロエース製品の付属パーツは使用方法の説明がされておらず、使い方をご存知ない方もいらっしゃるようですので、今回は詳しく記述することにします。

 

製品として、流線形先頭車(右側)の先頭部分にはカプラーが付かない構造で、貫通形先頭車(左側)の先頭部分にはスカートに装着された柄の長いアーノルドカプラーが装備されています。両先頭車の連結面と中間車では、全て台車マウントのアーノルドカプラーが装備されています。

 

連結面間隔は、通常のアーノルドカプラー同士では8mmです。

 

貫通形先頭車との連結面間隔は、柄が長いアーノルドカプラーの影響で10mmにも広がります。

 

左側がT車、右側がM車です。何れも、アーノルドカプラーは保持枠ごと交換できる構造になっていますが、台車への取付方法は異なります。T車では台車の連結面側に取付用の角穴があり、上面からカプラー保持枠を挿し込む構造です。M車では台車のギヤカバーの連結面寄りに小さなプラスネジで止めてあります。

 

一般的なT車からカプラー交換を始めます。交換作業が判り易いように台車を取り外していますが、カプラーの取付構造を理解すれば、敢えて台車を外さなくても台車の止ネジを少し緩めるだけでカプラー交換できます。

T車用の台車を裏返して線路側から見た状態に置いてあります。左側が製品状態、中間がアーノルドカプラーを保持枠ごと取り外してKATOカプラー用アダプタを準備した状態、右側がKATOカプラー用アダプタを装着した状態です。

 

KATOカプラー用アダプタを装着した台車を、使用時の形に置き直しています。左側がKATOカプラー密連形B・グレー(品番11-706)を装着前の姿で、カプラー後部をアダプタの半円形をした先端部に挿し込むことで装着でき、右側のカプラー装着後の姿になります。

 

次はM車の場合です。

M車は台車を外すと面倒なので、付けたままで作業しています。小さなプラスネジを外してから、台車を手で押さえた状態でカプラー保持枠を左右に振ると後方の固定爪のロックが外れ、カプラーを保持枠ごと取り外すことが出来ます。次に、角形のアダプタを台車と床板の間に挿し込んで押すと、アダプタの固定爪が台車にロックされますので、先程の小ネジで固定します。最後にカプラー後部をアダプタ先端の半円形部分に挿し込めば装着完了です。

 

カプラー交換を終えたT車(奥側)とM車(手前)です。カプラーは、M車の方が0.5mmほど外側に出た状態で装着されます。

 

カプラー交換の前後で、連結面間隔を比較します。手前がKATOカプラーに交換したT車同士で間隔は4mm、中間がT車(左側)とM車(右側)の交換後で間隔は4.5mm、奥側が交換前のアーノルドカプラーのT車同士では8mmです。KATOカプラー密連形Bに交換することにより、連結面間隔が短縮されて、見映えが向上しました。

 

残ったのは、貫通形先頭車の先頭部です。

貫通形先頭車の先頭部のアーノルドカプラーは、他車の様に台車装着ではなくて、青色のスカートに固定された構造をしています。

 

スカートは固定爪を床板に下側から嵌め込んで装着してあります。固定爪を押し下げることでスカートを取り外すことが出来ます。

 

アーノルドカプラー付のスカートが外れました。

 

付属品の白色カバー形ダミーカプラーを使用する場合には、スカート背面の取付穴からアーノルドカプラー後方の固定爪を解除して抜き出し、代わりにダミーカプラーを挿し込みます。

ダミーカプラーが白色モールドのため見難いですが、スカートに装着済みの状態です。また、ボディ先端に見える青色の貫通ホロ枠は、ボディの下側から挿し込んであるだけですので、取り外すことも可能です。

 

白色カバーを表現したダミーカプラーを装着した貫通形先頭車(右側)です。ダミーカプラーのため、代替先頭車としてしか使用できませんので、青色の貫通ホロ枠は取り外しておきます。

 

中間車として組み込まれた貫通形先頭車(HOT7022)では、青色の貫通ホロ枠を使用 (1995年1月14日 大阪駅)

 

代替先頭車として使用時の貫通形先頭車(HOT7022)では、青色の貫通ホロ枠はなく、白色の連結器カバーが目立つ (2016年1月5日 山崎~長岡京)

 

ダミーカプラーでは中間車として使用できませんので、その際に使用する付属品があります。

二分割されたスカートパーツで、BMTNカプラーの穴に挿し込んで使用します。

 

貫通形先頭車の先頭部に、分割スカートを取り付けたBMTNカプラーを装着すれば連結可能となります。この際は青色の貫通ホロ枠を取り付けておきます。全車両を統一したBMTNカプラーに交換していれば、連結位置を選ばずに連結できますが、私はコスト削減のためにKATOカプラー密連形に交換したので、セットに2両入っているHOT7030形中間車の1両の片側連結面だけBMTNカプラーに交換しています。この一対のBMTNカプラーは、半室グリーン車に改造中の車両に付いていた密自連形のBMTNカプラーの再利用です。加工中の半室グリーン車を組み込んだ通常の5両編成を基本として使用する予定で、片側BMTN付きの2両は予備車とします。代替先頭車にはそのまま使用可能ですが、多客時の6両編成を再現する際には、基本編成の1両を予備車2両と置換えて対応する制約を伴います。

 

なお、分割スカートを活かして貫通形先頭車の先頭部にもKATOカプラー密連形を装着できれば、上記の制約は解消できますので、実現方法を別途検討してみます。(→こちら

 

カプラー交換が完了しましたので、連結面間隔を再確認します。

手前から、KATOカプラー密連形を装着したT車同士の場合が4mm、同カプラー装着のT車+M車の場合が4.5mm、奥側のBMTNカプラー装着のT車+貫通車先頭部の場合も4mmと大幅な短縮が実現出来ました。

 

最後になりますが、全車両の連結面妻板の右端寄りに排気管パーツが挿し込まれていますが、ケースの出し入れの際に一部の車両で抜け落ちることがあり、紛失防止のため当該車両の排気管裏面の突起2ヶ所にゴム系ボンドを少量絡めてボディに接着しておきました。

 

KATO製の「スーパーはくと」が出荷される前に、加工中の半室グリーン車が完成するよう作業を加速することにします。

 

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