とあるアーティストのラストライブ。
私は彼の姿がよく見える、スタンド席から見守っていた。
ライブが終わり、彼が私に手を振る。
私も手を振り返す。
隣の、そのまた隣の女のコも、皆一様に手を振っている。
(それでも、私のものだしね)
優越感を抱いて、ドームを後にした。
二人の待ち合わせは、小さな部屋。
二人で暮らす、ささやかな幸せが詰まった、小さな部屋。
ギターを背負った彼が、帰ってきた。
「おかえり」
「ただいま」
とっておきのワインで乾杯する。
彼が小さな家の形をした箱を、私に差し出した。
「開けてみて」
屋根を外し、観音開きに箱を開く。
すると中にはクッキーや熊を形とったチョコレートが、それぞれの部屋にちょこんと収まっていた。
「かわいい!」
「言ってくれると思った」
ステージの上のサングラスから眼鏡にかけかえた彼が、にっこりと笑う。
すぐそばにいる彼が私の顔を覗き込み、私は優しいまなざしから目を離せない。
気恥ずかしさでチョコレートをポンと口に含んだ私の頭をポンポン…と、優しく撫でると
彼はワイングラスを片手にそっと立ち上がった。
夜景と混ざっている彼の後ろ姿から、彼の書いたバラードが聞こえてくるようだ。
バラードは彼の真骨頂。
重すぎず、破れた恋もまっすぐに受け止める彼のバラードを嫌いな人はいないと私は思っている。
チョコレートを食べながら思う。
(指輪、入ってたりして)
今日は、そういう日になるかもしれない。
彼とは歳が離れてるけど、私にはかけがえのない人。
私に夢を見させてくれる人。
私を、そっと包み込んで、手のひらの上で羽ばたかせてくれる人。
いつからかはわからないけど、私のそばに彼はいた。
私は18歳も年下で、子供で、彼が私のなにを好きになってくれたのかわからないけれど
彼はいつも私を受け止めてくれていた。
(指輪、入ってるといいな…)
口の中で解けていくチョコレートに、そっと願いをかけた。
*********************************************
ええ、夢です。ただの夢。
最近の『歳の差婚』にインスパイアされたのでしょうか…私…
ああ、『復活ライブ』にもインスパイアされてます。
あのアーティストの復活ライブ、見たいと思ったことは確か。
いやしかし…
『彼』があの人だったには驚きました。
いやね、好きでしたけど。好きだったのは彼が書いた曲で。。。
でも、覗き込まれた彼の目に、ああ、夢なのに…
射抜かれてしまった。。。
いや、だいぶ美化されてた。今より相当若かった!
それこそ、私が19歳の時に観に行った、2DAYSラストライブくらいの時期かもしれない。。。
しかし…すごく歳の離れた彼氏って、ぜ~んぶ包み込んでくれる度量は持ってるかも。
何しても許されちゃう、ような。
今にして思えば、それもちょっと魅力的だったかも…(笑)。
ああもう、とりとめのない夢の話。
こっちのほうがやおいじゃん