GM-CSFとは女性の生殖器系全体で生産されるサイトカインのことです。サイトカインは受精卵と母体の着床の継続を促す情報伝達物質であることからこの培養液の使用によりサイトカイン濃度が高まり着床率を向上させ流産率を下げることが目的です。

 

海外では流産経験者の出生率を28%改善したとの報告があり、国内ではまだ臨床数は 少ないものの、凍結胚移植周期だけの使用でも継続妊娠率が20%改善したとの報告があります。(*1)

 

<GM-CSF含有培養液を用いて胚移植が有効だと考えられている方>
ⅰ 自然妊娠しにくい方。
ⅱ 着床不全が考えられる方。
ⅲ 胚盤胞を2回以上移植しても着床しない方。
ⅳ 化学的流産または臨床的流産を2回以上繰り返す方。 
  (化学的流産:妊娠反応のみ陽性。その後、妊娠が継続しなかった場合。)
  (臨床的流産:胎のうまたは胎児を確認。その後、妊娠が継続しなかった場合。)
ⅴ 原因不明の不妊症の方。

 

共同研究により、多様なサイトカインの中でも細胞の増殖や分化を促進するGM-CSFが着床時期に最も重要なサイトカインの一つであると考えられているようです。

 

通常は着床時期にGM-CSFの発現量が増加しますが、着床不全の方や流産を繰り返す方ではこのGM-CSFの発現量が少なく、GM-CSF濃度は低いままのことがあり、着床不全や流産の原因として考えられています。
 また、月経周期や加齢により、GM-CSF濃度が変化することも考えられています。(*2)

 

特に流産経験したことある方はこちらは効くかもしれません。(*3)


 前日にまとめたG-CSFは子宮内に注入、GM-CSFは培養液です。

どちらもサイトカインを利用して着床率をあげていくものです。G-CSF× GM-CSFは喧嘩しなそうなので併用してオプションをつけるのも良いですし、同じような働きをするものだからこそ、別の働きをするPRPやエンブリオグルーと掛け合わせて使ってもいいかもしれません。

 

 

 

 

(*1)はらメディカルクリニック

 

https://www.haramedical.or.jp/content/vitro/000552-2

 

(*2)アクトタワークリニック

 

https://www.acttower.com/advice/2017/04/gm-csf.html

 

(*3)矢内原クリニック

 

https://www.yanaihara.jp/blog/?p=2097