マサルを待っていたわけではない
新潟の選手バスがスワンに入って
次に長崎の選手バスがきた
さっきと違うところに
1人立っていた
カーブで減速したバス
ふっと顔を上げた
飛び込んできたのは
加藤大
マサルだった
私を見つけたんだろう
あのいつもの
ニッカていう顔になり
ぺこりしてくれた
覚えていてくれたんだなー
嬉しかった
試合にマサルは出なかったが
帰り道
あ!
長崎の選手バス
信号待ちで
前で止まった
あ!
マサル
つい
ぴょこぴょこ
跳ねてしまう
数秒前に止まったんだ
手を振ってくれたマサル
笑った
たぶん
私がおかしかったんだろう
勝てなかった長崎のバスの中で
笑うことになってしまったね
ごめん
忘れないでいてくれて
ありがとうマサル
私は何年
マサルの幕を
張っていたんだろう
もう
うちの子でなくなったマサルだった