朝から
雨だった
高速でスワンに
近づくに連れて
雨風が強くなった
その雨は
一日止むことはなかった
昨日は
ダンマクを
3枚張った
南アフリカW杯の
スタジアムに
張ったダンマク
スワンに持っていった
貴章は覚えているだろうか?
貴章にあの頃の
輝き取り戻して
ほしかった
取り戻せ
貴章
輝くように
目映い光を
放つ
矢野貴章に
戻ってほしかった
私だった
そのダンマクは
あっちの治安は悪いから
無くなっても
いいように
手作りしたものだ
白地に青い文字
ただ 貴章とだけ
書いてある
貴章のサインもらってあった
昨日の
試合は残念ながら
引き分けだった
そして
ダンマク持ちの宿命だよね
雨に濡れた3枚の
ダンマクが
どんなに
重いか
つきたての餅みたいになるんだ
まあ
勝手に
好きで張っているんだから
誰にも文句なんか
言えない
昨日の雨は
凄かった
ダンマクの重いこと
キャリーバックが
何倍にも感じられた
札幌で痛めた
腕がまだ痛かった
キャリーバック
引く手がいたいんだ
そしてすごく寒くなった
試合後
いつもの
出待ちに
寒い
雨に濡れた身体が
ガタガタ震えた
貴章を一目でも
と選手バスを
待っていたんだ
正門からバスが出てきた
と
どうしたことか
今日は
バスが
私達の
前で止まった
雨で
びしょ濡れになった
ゲーフラ掲げてた
自然と
ピョンピョン
跳ねる身体
貴章は
いつも
バスの席に座っていた
貴章ー
後ろの席のミカドが
こっちを見て
笑った
そして
貴章に何か言った
貴章がこっちを見て
笑って
手を振ってくれた
きっと
私が跳ねてる姿が
おかしかったんだろうね
仙台でヨシカツに
笑われたときみたいだった
今日は惜しかったね
貴章
バスが動き出す
私は
思わず
叫んでいた
貴章ー
次ー ゴール 決めるよー
と
たぶん
声は
届いたんだろう
わかったよの
合図か
しっかり
こっちを
見てもう一回
手を振ってくれた
貴章ー
バスは
いってしまった
朝からの
冷たい雨は
なんだったんだろうか
今
空は
晴れ渡り
星が輝いていた
貴章
次
決めるよ