ギョンは美術科までガンヒョンを送って行きたいのだが、許可がおりたことは一度もない。

名残惜しいが、下駄箱でいつものように別校舎へと別れる。


チェギョン達がA棟の階段を上がっていると、上からもの凄い形相をしたミン・ヒョリンが降りてきた。
シャワーも浴びず、レッスン着のまま走ってきたのだ。

すれ違いざま、わざとチェギョンの肩にぶつかる。


チェギョン「あっごめんなさい。大丈夫ですか?」

ヒョリン「…ふん…偽善者…いい子ぶらないで…泥棒猫…私の後釜に座って嬉しい?あんたみたいに下品な女がシンに相応しいと思ってるわけ?身の程を知りなさいよ」

ガンヒョン「ちょっと何を言ってるの。こんなことをしているあんたの方がよっぽど下品じゃない。身の程知らずはあんたでしょ」

スニョン「そうそう、嘘をついてたのが殿下達にバレて、側にいられなくなったんでしょ?自業自得なのにチェギョンに当たり散らさないでくれる」

ヒスン「育ちの悪さが出てるでござるよ」

チェギョン「ちょっと皆言い過ぎだよ。もう行こうよ、ね。ミン・ヒョリンさんごめんなさいね」


チェギョンはペコペコと頭を下げながら、三人を追いたてその場を離れる。
ヒョリンはチェギョンではなく、まわりの人間に反論されたことに憤り、さらに怒りを募らせ立ち尽くしていた。


とりあえず四人で、すぐ近くのアトリエ替わりに使っている教室に入る。


ガンヒョン「もう、何なのあの踊り子💢言い足りないわ」

チェギョン「ヒョリンさんって、本当にシン君のことが好きだったんだね…。ちょっとかわいそうかも…」

ガンヒョン「好きだったら何をしてもいいの?チェギョンは関係ないじゃない。殿下に直接言えないからってチェギョンに言うのは違うでしょ?
だいたい泥棒猫って何よ。踊り子は殿下の恋人じゃなかったんでしょ?全くお門違いだよ」

スニョン「そうそう。側にいられなくなったのは自業自得のくせに、勝手にチェギョンを目の敵にしないでほしいよね」

ヒスン「あーもう、踊り子の秘密をバラしたいでござるよ。そうすればあんなに偉そうなことをいえなくなるのにー」

チェギョン「ダメだよ。今日のことはシン君には言わないでね。私なら全然大丈夫だから」

ガンヒョン「チェギョンってば…わかったわ、殿下には内緒なのね。でも、もし今後同じことがあったら黙ってないからね」

チェギョン「ありがとう。皆が守ってくれるから安心ね。さあ、いいかげん教室に行かなくちゃ、遅刻しちゃうよ」