まだ幼稚園に入る前、父親と母親と一緒にお出掛けした。普段忙しくてあまり会えない父親が一緒で、すごく嬉しかった。
着いた先はとっても大きな家で、お城みたいだとビックリしたことを今でも覚えてる。

玄関にいた人(バトラーって呼ばれていた。外国の人なのかな?)に案内されて入った部屋で、私と同じぐらいの大きさの人形がちょこんと椅子に座っていた。可愛い。思わず近づいてみる。

真っ白のドレスみたいなワンピース、服に負けないぐらいの白い肌、少し茶色のふわふわ柔らかそうな髪、黒くて大きなクリクリとした目、ママの口紅を塗ったみたいな赤くてプルプルの口、今にも動き出しそうで、ドキドキしながら、手を伸ばす。

チェギョン「ねえ、あなたはだあれ?わたしはチェギョン、シン・チェギョンよ。でもね、みんなが“ひめ”ってよぶの。アッパはおうさまじゃないのにおかしいよね。ふふふっ」

少し首を竦めて、大きく開いた手のひらを両方口に当てて、笑い出した。仕草も可愛い。
最初、人形が喋り出したとビックリしたけど、よく見ると同じ年ぐらいの女の子だった。

ガンヒョン「わたしはガンヒョン、イ・ガンヒョンよ。アッパとオンマといっしょにきたの。ここはあなたのおうちなの?おしろみたいね」

チェギョン「ううん、チェギョンのおうちはここじゃないの。ここは、おじさまとおばさまとオッパのおうちなのよ。すっごくおおきいから、すぐにまいごになっちゃうの。こまっちゃうね。ふふふっ。
ねえ、ガンヒョンってよんでもいい?チェギョンとおともだちになってくれる?」

ガンヒョン「うんいいよ。おともだちだね。わたしも“ひめ”ってよぶのかな?チェギョンってよんでもいいの?」

チェギョン「オンマはチェギョンってよぶよ。うれしいな、おともだちができた。うふふっ」

チェギョンはずっとニコニコしてるし、すぐに笑う。とっても可愛くて友達になれて嬉しかった。

2人で手を繋ぎ、大人達が話している所に行く。チェギョンのアッパとオンマ、おじさまとおばさまとオッパがいた。2人がお友達になったことを報告する。
みんな、チェギョンのことがとっても可愛くて心配なんだって。だから、私がお友達になって、一緒の幼稚園に通ってほしいってお願いされた。“もうともだちだもん、いいよ”って言った。アッパがちょっと焦っている。
なんでかな?
あっ確かにこんなに可愛いチェギョンは誰かが連れて行っちゃうかもしれないし、私の方がお姉ちゃんだから守ってあげようと思った。


お家に帰ってアッパに聞いたのは、チェギョンのおじさまはアッパの会社の社長さんなんだって。
1番偉い人。でも、誘拐とかが心配だから、このことは内緒なんだよって言われた。

“そんなことわかってるよ、チェギョンは可愛いから連れて行かれるかもね”って言うと、笑いながら、“ガンヒョンも可愛いから心配だよ”って頭を撫でられた。
くすぐったくて嬉しいな。

その後、チェギョンと一緒に女の子ばっかりの通う幼稚園に入園が決まった。
これから毎日チェギョンと遊べるのが嬉しかった。