各親子は、正殿を後にし家に帰って行った。

子供達は明日の学校での処分に不安を感じ、親達はサムスンからの会社への影響を恐れ、帰ってからも落ち着かなかった。

ミン家は家政婦親子と早く縁を切りたくて、帰るとすぐに出て行く様に言い渡し、新しい家政婦の手配を済ませ、引っ越しに明日1日の猶予しか与えなかった。


ミン・ヒョリンは、まだ足掻こうとしていた。

自分の才能を認め今まで援助をしてくれていた、バレエ教室の先生であるナム・ジュヨンに連絡をとる。
しかし、すでにジノンが手を回し、韓国バレエ協会会長より今後ヒョリンと関わるとバレエ協会からの追放を示唆されていた。
そのためもうヒョリンとは今後一切関わりを持たないと言われてしまう。

インはあの場にいたが、自分の事が好きならこの状況をなんとかしてくれるのではないかと思い、連絡をとろうとする。が、なぜかスマホが使えなくなっていた。このスマホもインからのプレゼントで好きに使っていた。なぜ使用できなくなったのかわからない。
仕方がないので、明日の学校でインに頼もうと思い、そのまま休むことにした。


ジノンはシンに案内をされ、姫の待つ東宮殿に向かっていた。

ジノン「殿下、昨日より私に聞きたいことがあるんじゃないですか?姫の前では聞けないこともあるでしょう。今お聞きになりませんか?」

シン「昨日はいきなりチェギョンを連れて行ってしまわれたので、大変驚きました。私はチェギョンのことをほとんど知らないという事に気付き愕然としました。このまま【宮】を出て行ってしまうかもと初めて恐怖を感じたのです。
私は初めて会ったときからチェギョンのことを好ましく思い、彼女が辛い思いをするとわかっていながらもこの婚姻を進めてしまいました。
昨日、今までチェギョンが受けていた仕打ちを聞き、自分の不甲斐なさに呆れています。
私はこの婚姻で日々幸せを感じていますが、チェギョンにとってみれば、辛いことばかりかも知れません。
こんな私がジノンさんにとやかく言えるはずなどないのです。」

ジノン「もう答えを聞かせてもらったようなものですが(笑)私に嫉妬を感じますか?私達以上に姫を大事にしてくれますか?姫のことを愛していますか?」

シン「私には愛がわかりません。だから嫉妬もよくわからないのです。
ただ、チェギョンが笑っていると嬉しくて、でもその笑顔が私以外に向けられるのはイヤなんです。
チェギョンが泣いていると悲しくて、でもその涙さえも美しく誰にも見せたくないんです。
チェギョンが喜んでいれば喜びを、
悲しんでいれば悲しみを、
怒っていれば怒りを、
全ての感情を一緒に分かち合いたいと思うんです。

ジノンさん達よりも大事にできるのかは、自信がありません。私の預かり知らぬところで、色々あるのが皇室であり宮中でしょうから。だが、私のできる範囲で私の力の及ぶ限りチェギョンを守っていきたいと思います。
これでは認めていただけませんか?」

ジノン「先ほども言いましたが、私は昨日、本気でこの【宮】から姫を連れ出すつもりだったんです。私に入ってくる情報では姫が幸せではないと思っていたのでね。
でも、昨日の姫は殿下の心配ばかりでしたよ。殿下の幸せがあの女とあるのなら、離婚をしてあげたいとね。殿下の幸せだけを祈ってるのでしょう。
そして私達家族は姫の幸せだけを望んでいるのです。姫の幸せがここ【宮】に殿下の元にあるのなら、全力で守っていきますよ。
ただ、姫も恋や愛がわからないお子ちゃまなので、殿下も2人で頑張って恋愛をしてくださいね(笑)」