もうすぐ12月。



世の中の人達はみな忙しそうだが、クリスマスや正月などのイベントを控えて、どの人も充実しているように見える。



かたや私にとっては、夫の病状が悪化し最期を迎えたこれからの季節は、一年で一番辛い。



しかも、パート先では干され、さらに更年期のせいで体温が上がったり下がったりして体調も乱れていて、心身共に最悪な状況になりつつある。



しかし、パート先では干されているけど、仕事以外では色々とやらなければならないことがありバタバタしている。



疲れが溜まっているのを感じていて、少し休んだ方がいい気がしたので、仕事はズル休みして、気晴らしにどこかへ出かけようかなと思った。



しかし、休むことにした前日の夕方、仕事を終えて家に戻り、ポストを見ると、宅配便の不在票が入っていた。



不在票には品名は書かれておらず、見覚えのない会社名のみが書かれていて、しかも、私の名前を間違えて書いてあった。



私はいつも、宅配便は可能なものは置き配にしてもらっていて、置き配できないものも店舗受け取りや街中にある宅配ロッカー受け取りに変更したりして、なるべく自宅での対面受け取りにしないようにしている。



何故かというと、私が宅配便を待つために拘束されたくないのもあるし、時間指定して逆に配達の方を拘束したくないから。



時間指定すれば2時間程度待てばいい話なのだが、その間は在宅していなければならないし、待ってる間にトイレ行きたくなったらどうしようとか、電話かかってきたらどうしようとか、落ち着かないのだ。



それに、宅配業者さんも本当は自分達の都合の良い時間に配達する方がいいのだろうしと思うと、時間指定するのも何だか悪い気がしてしまう。



玄関ドアには置き配OKのプレートも下げていて、主要な宅配業者にはメンバー登録してあるので、たいていは置き配にしてくれるし、受け取り先を変更することもできる。



しかし昨日の荷物は、私の名前が誤って書かれていたため、自宅に再配達して、本人と対面して間違いないかを確認した上でないと渡せないとのこと。



なので、どこかへ出かけようと思ったが、宅配業者を待つため家にいることにした。



だが、心当たりのない会社からの荷物を受け取っていいのか?何かの詐欺かも?と不安になった。



でも、知り合いからの荷物かもしれないし現物を見ないで受け取り拒否するのもためらわれ、かと言って、箱を開けずに中身を確認するわけにもいかないし、どうしたらいいんだろう。



ネットで会社名を調べてみたが、同じ名前の会社がいくつもあり、どの会社なのかわからなかった。



とりあえず届けてもらって荷物の外観と送り主を改めて確認してから考えることにし、モヤモヤしながら荷物が届くのを待った。



そして、荷物が届いた。



荷物は、細長い段ボール箱で、中身や送り状を見なくてもカレンダーだとわかった。



段ボールにはステッカーが貼ってあり、それを見て、以前家の修繕を依頼した業者だと判明した。



私はガクッとした。



怪しい荷物でないのは良かったが、社名の入った大きな壁掛けカレンダーをもらっても使わないし、正直かえって邪魔になるだけだ。

(仕事で営業用のカレンダーを配っている方々には申し訳ないのですが、、、)



しかも、私の名前を間違えて書いていて、そのために置き配も受け取り先変更も不可になってしまい、宅配業者さんに再配達までさせてしまい、私も家に待機しなければならなくなった。



私がお願いしたわけでもない要らないものを会社の営業のために一方的に送りつけられ、余計な時間と手間をかけさせられ、名前まで間違えられ、ここまでくると、大切な客として扱われているようには思えず、むしろ嫌がらせのようにさえ感じてしまい、何だか腹が立ってきた。



だったら最初から受取拒否すれば良かった。



私は送り状に書いてあった会社に連絡し、こう伝えた。



「カレンダーお送りいただきありがとうございました。


せっかくお送りいただいたのに恐縮ですが、カレンダーを使わないので、来年からはお送りいただかなくて結構です。」



本当は迷惑だと言いたかったが、その会社には定期的に作業を依頼しているので、余計なことは言わなかった。



連絡した後、こんなことでイライラモヤモヤしている心に余裕のない自分が、情けなくて惨めで嫌になった。



心当たりのない宅配便が届いたと知り、詐欺かも?と不安になった反面、誰かからのサプライズプレゼントかなって、正直少し期待した部分もあった。



せめて、もっと豪華なものが届いたのなら、少しは救われた気持ちになったかもしれないのに。

(現金な女、、、)



しかし、私がもらえるお歳暮やクリスマスプレゼントやお年玉は、営業用の大きなカレンダーぐらいしかないのだなと思うと、いっそう空しくなった。