先日、元同僚のMさんからLINEが来た。
「(Mさんが)手がけた仕事がネット媒体に取り上げられたの!見てね〜!」という内容だった。
本当は、
「それは凄いですね!お祝い会を兼ねてご飯行きましょう!」
と返信すべきだったのかもしれない。
(Mさんもその流れを期待していたのだと思う)
でも、Mさんのコメントに何となくモヤモヤして、私はしばらく返信せずに放置していた。
Mさんはネットで紹介された自分の仕事をただ読んで欲しいという意図しかなかったのかも知れない。
しかし、「見てね!」のコメントに加えて、
「私はそんなにガツガツ売り込んだりしてないのに、取り上げられてしまったのよ!」
といったニュアンスのコメントがあり、
「私は他の人とは違って特別な存在だから取り上げられたのよ!」
と言いたげな感じだった。
Mさんと私は同じ職場で同じ仕事をしていた。
私はその職場に耐えきれず逃げ出したが、Mさんはもともと優秀ではあるし、ハードな仕事もこなしていたし、職場でも頼りにされていた。
しかもご主人と子供と豊かな生活をしていて、コミュニケーション能力も高いし趣味も多いし、私が持っていないものを全て持っている人だった。
なので、Mさんは私から見れば凄い人ではあるのだが、正直、他にもMさんレベルの優れた人はいる。
でも、Mさんは、そういう優れた人達よりもさらに自分は特別な選ばれし人間なのよという自信に満ちている。
かたや、何をやってもうまくいかず、パートで働いている職場では干されて、社会の誰からも必要とされていない私は、Mさんと比べて、ますます自信を無くして惨めな気持ちになってしまった。
私は実は主張の強い人は嫌いではない。
でも、仕事のことですっかり自信をなくている今は、Mさんの「私って、すごいでしょ!」との圧が強いメッセージは、荒んだ私の心をますます荒らした。
他のLINEグループのメンバーは、
「わー、おめでとう!さすがMさん!」
とかコメントしていて、私も読んでしまった以上、無視するわけにもいかず、どうするか考えあぐねた末、ようやく返信した。
「Mさん、おめでとうございます。
本当はお祝い会を開催して差し上げたいのですが、私は最近、更年期のせいか体調がすぐれないのです。
落ち着いたらお会いしたいですね(本当は会いたくないけど)」
そうしたら、Mさんはじめ他のメンバーは、
「ユリピさん、大丈夫ですか?
更年期には◯◯が良いみたいですよ!」
「え、そうなの?私は△△をやってるよ!」
などと、更年期ネタの会話が始まった。
他のメンバーは私にも会話に加わって欲しかったのかも知れないが、私は、
「ご心配をおかけして申し訳ありません」
とだけメッセージを送り、その後も延々と続いていたと思われるメンバーのやり取りは読まずに放置した。
つくづく心の狭い女だな、私は。
元同僚の活躍を素直に祝福できず、いちいち自分と比べて勝手に惨めな気持ちになって、こんな卑屈な自分が嫌になる。
でも、Mさんの、「自分は他の人と違って特別な存在なのよ」という選民意識の高さには、本当は前からモヤモヤしていた。
Mさんは選民意識が高いが、かたや私は、人と比べて優れた部分が何もなく、どこでも雑に扱われ、誰からも必要とされていないという、いわば「逆」選民意識が強い。
いや、何にも持っていないのに、唯一の大切な存在である夫をあんなに早く奪われてしまったという点では、私は別の意味で他の人とは違った特別な存在で、良い神様ではなく、悪魔とか悪い神に選ばれてしまった「選民」とも言えるのかもしれない。
そんな所で人と違った特別な存在になんかなりたくなかった。