夫がなくなって5年と7ヶ月経った。
そして、夫と私の年齢差は5歳7ヶ月。
とうとう夫の年齢に追いつき、追い越してしまった。
夫より長生きしたくないと思っていた。
私も夫と同じ年齢で夫のもとへ行きたかった。
夫はいつまでも年上でいて欲しかった。
でも現実は、夫の年齢を超えても私は生き残っている。
守ってくれる家族も守るべき家族もおらず、社会的に何かに貢献しているわけでもなく、誰からも必要とされていない。
生きがいがあるわけでもなく、何の楽しみもない。
せめて人のために何かしたいと思い、実際にやろうと準備していたことがあったが、それも結局独りよがりで、うまくいかず中断している。
私は何のために生きているのだろう?
これからもずっとこんなことを考えながら生き続けていくのかと思うと、気が遠くなる。
そして来月、私は誕生日を迎える。
いよいよ夫が達することができなかった年齢になってしまう。
もはや私の誕生日を祝ってくれる人はこの世にはいない。
一人で歳を重ねることは空しさしかない。
けれど、こうして生きていられるだけでありがたいことなのかもしれない。
もうすぐ終戦から80年となる。
80年前に日本で生きていた人達は、戦争に全てを捧げざるを得ず、自由に生きることはできなかっただろうし、生きたくても生きられない人もいただろう。
でも今は、やろうと思えば色々なことができる。
夫ももっと生きて、やりたいことがたくさんあったと思う。
何の生きがいも楽しみもなく一人で生きていくのも辛いけど、生きられないことの方がどれだけ無念かと思う。
そう考えると、やはり残された人生を無駄にしてはいけないと思う。
夫という最愛の存在を失って、私の人生も終わったと思っていた。
しかし現実は、まだ私の人生は続いている。
ただ、今の私の人生は、夫と一緒だった頃のそれとは別物のように感じる。
夫が旅立った日が私の新たな誕生日なのかもしれない。
ユリピは俺の分まで悔いのないように生きて欲しい。
夫がそう言っている気がする。