日本テレビが、ドラマ「セクシー田中さん」社内特別調査チームの調査結果を公表した。


91ページにもわたる報告書で読み取れていない部分もあるかもしれないが、日本テレビの「自分達は悪くない」という言い訳が延々と書かれているというのが私の感想だ。


そして、事実関係、検証、今後へ向けての提言が書かれていたが、社内調査なのにどこか他人事のような感じで、重く受け止めているとは思えなかった。


何より、今後は原作改変について相互理解を図ると書いてあり、この期に及んでもまだ原作ありのドラマを改変ありで作ろうとしている姿勢に唖然とした。


いや、その前にやることあるでしょ?


まず、安易に原作ありドラマを作ろうとして、「アイデアだけいただきます、ドラマは原作とは別物なんだから原作者の意向は聞きません、ドラマ化してやっただけ有り難く思え」という、オリジナル作品を生み出す才能もないのに傲慢な態度を自覚・反省し、認識を改めるのが先なのでは?


報告書には、制作スタッフの中心人物であるプロデューサーから聞き取ったと思われる、ドラマ化決定から制作過程、脚本家と原作者である芦原さんがSNS・ブログ投稿に至るまでの事実関係が細かく書かれていた。
(これは想像したよりも詳細に書かれていて評価できなくもないが、結局、特定の制作スタッフや脚本家に問題があっただけで、日本テレビとしては悪くないという、トカゲの尻尾切りに見えた)


その事実関係の中に、制作サイドは原作を大切にしようという気持ちで議論を重ねた、自分達としてはかなり原作者の意向を汲み取ろうと努力したとあったが、そこにも前提として、本来なら原作者にとやかく言われる筋合いはないのに、原作者の意向を聞いてやったという上から目線の態度が透けて見えた。


漫画や小説を実写化するには全く改変なしでは成立しないし、改変が悪いということではないと思う。


原作者の芦原さんも、原作者の意向に沿った改変ならOKとしていたようだ。


しかし結局、再三脚本の修正を依頼し、挙げ句の果ては自身で脚本を書かなければならない事態になった。


それは制作チームに原作を理解する力が足りていなかったというのもあるし、そもそも理解しようとしておらず、アイデアだけいただこうという姿勢があったからではないのか。


原作者がうるさく言ってきたとも受け取れるような文章もチラホラ見られ、ドラマはドラマで別の作品として意地でもオリジナリティを貫きたいという制作サイドの変なプライドが伝わってきた。


しかし、この問題を今回調査の対象となった制作チームだけの問題にしてしまうのはどうなんだろうか?


こういう原作軽視の風潮は日本テレビだけでなく業界全体にはびこっていて、制作スタッフはドラマ化にあたり改変は当然と教えられてきたのではないか。


だとすると、日本テレビに限らずドラマ制作に関わる全ての人間が認識を改めないと、また同じようなことが繰り返されるのではないか。


原作者の意向に沿えるものが作れないのなら、原作ありのドラマを作る資格はないのでは?と素人ながら思う。


報告書では再三、コミュニケーション不足が問題だったと書かれているが、コミュニケーションがどうとか以前に、まずは自分達に原作ありのドラマを作る資質があるのかどうかを検証すべきでは?


とにかくツッコミ所満載の報告書で、しかも金曜日の夕方リリースし会見も行わないという(土日はワイドショー休みだからね)、やらかした他の企業や政治家がこれと同じ対応したら絶対叩かれまくるよなと思い、呆れてしまった。


テレビ局の傲慢な体質が伝わってくる報告書だった。


ちなみに、ドラマではないけど、私も仕事でテレビ局の制作者と関わったことがあるが、真摯に対応したのにネガティブな扱いをされ、嫌な思いをしたことがある。


昔に比べるとテレビは凋落したと言われているが、やはり傲慢な体質は変わらないのだな。


(テレビ関係者にも良い方もいるので、その方々には申し訳ありません。)