やらなければならないけど先送りしていることがある。
そのうちの一つが、大きな古い金庫の処分。
それは夫の父(義父)が亡くなった後、仏壇と一緒に夫の実家から今の家に運んできたものだ。
金庫とはいえ金目のものは入っておらず、夫の祖父の写真や勲章のメダルなどが入っている。
前に一度、夫と一緒に中を確認したのだが、その後施錠したきり開けていない。
この金庫も将来的には処分せざるを得ないと思い、とりあえず中のものを出しておこうと鍵を探したが、鍵が見つからない。
夫がしまいそうな場所は全て探したが見つからない。
かなり古い金庫なので、鍵がないとなると業者に頼んでも開かないかもしれない。
金目のものは入ってないので、最悪中身が入ったまま廃棄するしかない。
しかし、夫を可愛がっていた祖父の思い出の品が入っているとなると、簡単に処分してしまうこともできない。
なので、掃除のたびに鍵を探し続けている。
他にも夫から聞いていなかったため、夫がなくなった後、必死に探したものがいくつかある。
夫は遺言を残していなかった。
夫の病気がわかった時、遺言を書くようお願いすれば良かったのかも知れない。
けど、助かる見込みの極めて低い病気とわかった後では、遺言なんて言葉を口にできる状況ではなかった。
何より私自身が、夫の余命が長くないという現実に向き合うことができなかった。
夫の遺産については、義理の弟と分割協議してキッチリ法定相続分で分け、揉めることもなかったが、遺言があれば良かったのにと思わなくはなかった。
別に義理の弟に財産を渡したくないということではなく、夫の実家やお墓、お仏壇をどうして欲しいとか、遺志を残して欲しかった。
それ以外にも、夫が手掛かりを残していないため、どうしたら良いかわからず困ったことがいくつもあった。
そう、遺言などのちゃんとしたものでなくても、色々なことについて何か手掛かりを残して欲しかった。
私は夫や夫の家族、ご先祖が大切にしてきたものを守らなきゃと思ってきた。
けど、最近、夫やご先祖様はどうして欲しかったのか具体的なこともわからず、手探りのような状態で一人で色々なことを進めていくことに、だんだん疲れてきた。
あなたはどうして欲しかったの?
それがわからないから、私はいつも一人で迷いながら、それでもあなたやご家族、ご先祖様のためにと色々やってるのよ。
金庫の鍵もそうだし、残された私にこうして欲しいと思うことがあるなら、何でもいいから手掛かりを残しておいてくれればよかったのに。
でも、何も残してくれなかったのなら、もう私がいいように決めてしまっても許してくれるかな?
あなたは大事なことを金庫にしまって、その鍵のありかも教えず行ってしまった。
ひとりぼっちで鍵を探し続けるのはもう疲れたよ。