ここ何日か仕事は休みだった。
これから忙しくなるので、しばらくまとまった休みは取れなくなりそうだ。
なので今のうちに買い物をしておいた方がいいかなと思い、ちょうどセール期間中だったのもあって買い物に行った。
急に寒くなって着る服に困っていたので、久しぶりに服を買おうと思った。
振り返ると、夫がいなくなってから、実用的な仕事用の服やユ◯クロの服は買っていたが、おしゃれ着はほとんど買っていなかった。
長年勤めた会社を辞めてしまい、その後も転職を繰り返していて、実用的でない服を買うことをためらっていたのもある。
あと、何年か前までは普通に着ていた明るめの色の服も、今の私には何となく似合わなくなっている気もしていた。
でも、そもそも、おしゃれしたいと思わなくなってしまったのが大きい。
なので最近は、無難な色の無難なデザインの服しか着ていなかった。
今回も、持ってる服がヨレヨレになってしまったり太ったせいでキツくなってしまったので、仕方なく新しい服を買おう、とりあえず無難な色とデザインでずっと着れそうな服を買おうと思っていた。
でも、お店の色とりどりの服を見ていて、地味な服ばかり探している自分が何だかわびしくなった。
そうやって、人生を渇いた味気ないものにしているのは、私自身なのかな。
買い物した後、少し散歩したので、お腹もすいて喉も渇いてしまった。
気になっていたお店に思い切って入ってみた。
ランチの時間をかなり過ぎていたので、店内は空いていた。
私はビールとおつまみを注文した。
無心でビールを飲み、おつまみを食べた。
仕事とか色々なことに悶々としたり、自分だけが不幸だと暗い気持ちになったりして、負の感情で心が縛りつけられて重くなっていたのが、少しだけ解放されて軽くなった気がした。
そして、ふと、夫が見ている気がした。
夫は、私が満面の笑みで食べているのを、いつもニコニコしながら見てたな。
私が新しい服を買った時も「それ買ったの?いいじゃない」と言ってくれて、夫も嬉しそうだったな。
あの時、私も幸せだったけど、夫も幸せだったのだと信じたい。
夫が今でも私を見ててくれてるとしたら、ニコニコしながら食べたいものを食べて着たいものを着ている私の姿を見たいのだろうな。
夫は元気な頃、冗談めかしてよく言っていた。
「俺が死んでも、ユリピは逞しく生きてね。
いつまでも美味しいもの食べて飲んで、おしゃれしてね。
一緒に行った場所に行って俺を偲んでね。
俺よりもっといい男と出会ったら再婚してもいいんだよ。」
でもそれは冗談ではなく、夫の本心だったのかもしれない。
夫と一緒に行った場所にはなかなか行く気になれないし、男はもうこりごりだ。
何をしても満ち足りなくて、潤いのない生活になってしまっている。
でも、食べたいものを食べて、飲みたいものを飲んでるよ。
そして、似合わないかも知れないけど、久しぶりにちょっとおしゃれな服も買おうかな。
夫はこんな私を見て、笑ってくれてるのかな。
少しは安心してくれたかな。
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