生命保険の外交員の女性から、保険の見直しのご提案があると言われ、話を聞いた。
新しい保険が出たので、今の保険から切り替えませんか?との提案だった。
前は勧められるがまま色々な医療特約をつけていたのだが、夫が亡くなってから要らない特約をかなり減らした。
それでもまだ残していた医療特約があったのだが、正直それも要らないので、なんなら解約したいと思っていた。
でも、その外交員の女性とは長年の付き合いで、私のことも色々心配してくれて、単に高額な保険を売りつけるのではなく、最新の保険にアップデートしつつ保険料を極力抑えようという配慮はしてくれる。
その女性はかなりのお歳で、もうすぐ辞めたいと言っているので、今すぐ解約するのも何だし、あと何年か、その女性が退職するまではお付き合いで続けようと思っていた。
新しい保険の提案書を見たら、入院一時金◯◯円や手術一時金◯◯円などと書いてあった。
今の保険料より少し高くなる。
少しとは言っても、それを何十年も払い続けるとなると、それなりの金額になる。
入院はともかく、手術一時金なんて要らないと思った。
夫は手術したくてもできなかったし。
私は外交員の女性に、「手術一時金はこんなに要らないから、もう少し保険料を安くできないか?」と聞いてみた。
でも、外交員の女性は、「手術するとお金もかかるし、これぐらいは保険でもらえるようにしておいた方がいいのでは?」と言った。
私は、「夫は手術したくても手術できなかった。だから手術一時金の特約もつけていたけど保険金は出なかった。」と返した。
外交員の女性は、それ以上何も言わなかった。
そして、なるべく保険料が安くなるよう、再計算してくれた。
本当は新しい商品に切り替えさせて、保険料もアップしたかったんだろうけど。
解約されるよりは、ましだと思ったのかな。
冷静に考えると、いくら医療特約を付けてても全ての医療費がカバーされるわけじゃないし、入院代や手術代が払った保険料以上にかかるかどうかもわからない。
現状の社会保険制度では、一定額を超える医療費は負担しなくていいし、高齢者の医療費負担割合は少なくなる。
何十年も保険料を払うんだったら、それを貯蓄に回した方がいい気がする。
そもそも保険って、働き盛りで養う家族がいて万が一のことがあったら貯蓄で賄えない人が入るべきもので、私のように独り身で歳とってて少しばかりだが貯蓄もある人間にはあまり必要ない気がする。
それに、いくら保険に入ってても、もし私が認知症になったら、誰が保険の手続きをするんだろう?
周りの人は私がどんな保険に加入しているかわからず、結局保険金を請求できないということにもなりかねない。
もちろんそうならないために今から備えておくつもりだが、保険金の請求って結構面倒くさいので、あんまり手間はかけたくない。
私は別に保険を否定してる訳ではない。
その人の状況に応じて活用すれば良いと思う。
ただ、私に関しては、保険にはお金をかけたくないと思っている。
それより、認知症になってしまった時の備え、死んだ後の手続きについての備えをしておいた方がいい気がする。
いくら保険に加入してても、貯蓄があっても、それを託す人がいないとどうしようもない。
高齢者のおひとりさまが増える中、見守り・身元保証・財産管理・死後事務などを一括で受託するサービスもあるらしい。
やはりおひとりさまの知人がそういったサービスを利用しているので、私も利用しようかなと考えている。
そのためにも、削れる出費は削りたい。
夫を失い、何をやっても満たされず、この先、何を目標に生きればいいのかわからなくなってしまった。
強いて言えば、今の私の目標は、とにかく他人に迷惑をかけないよう老後を迎えて死ぬこと。
それだけが目標の人生なんて虚しい気もする。
でも、おひとりさまの私が、老後の準備を万端にすることで、少しは安心感を持って、穏やかに過ごせるようになれるかもしれない。
それって、結構重要な気がする。