毎日子育てをしながら娘と過ごす幸せな時間。可愛くて愛おしくて。家庭を持ち自分の子どもを持つ。そんなささやかな自分の夢を私は手に入れた。

自分の子どもがこんなにも愛おしいなんて。

元彼の事も思い出す時間が減っていった。

風の便りで元彼も結婚したと聞いた時は動揺したけれどそれも仕方の無い事だと思い直す事も出来た。

結婚生活では旦那が数回の転職をして経済的にはいつも大変だった。それでも何とか乗り越え娘が小学校に入学する年に家を新築して私の両親と同居してもらえることになった。
実父が大病を患い、すでに介護状態だった。

その頃ママ友の紹介でママ友と近所にある某私立高校で非常勤の職員として働く事になり、とても張り合いのある毎日が始まった。
普通のパートとは違い、校長先生をはじめ先生方、職員の皆さんにとても良くして頂き、学校の一員として迎えて頂き、生徒たちには元気をもらえて。
あの頃の懐かしい日々を時折思い出したり。
こんな仕事に巡り会えて毎日感謝していた。

そんな中、母まで体調を崩し一時はダブル介護をしながら働く毎日だったけれど何とか乗り越えられた。

元彼が言う様に『自分の事を一生懸命』頑張った。
元彼が言っていた『私の役割』を頑張ってた。

そのうちにインターネット、携帯電話が普及し始め、しばらくは考えた事も無かったが色々な事が重なりとても落ち込む毎日で…元彼は今どうしているのかな?
そんな思いが募りある日検索してしまった。

とても驚いた。
彼も私とほぼ同じ時期から地元から遠く遠く離れた場所の某高校で体育の教師をしながらバスケットボールを指導していた。

簡単な経歴が紹介されていた。
実業団や強豪校のアシスタントコーチを経て、某高校で体育の教師になっていた。

嬉しかった。本当に良かったと心から思った。自分の夢を叶え、彼が自分の命より大切なバスケットボールで頑張っている。
同時に本人は元より奥さんも大変だっただろうなと思った。
凄い人だなと思った。

…あんな想いをして諦めた甲斐もあったと思った。

それからは私も自分の職場で新たな気持ちで仕事を頑張れた。
彼も頑張っているだろうな、私も頑張ろうと思えた。

心から嬉しかった。