彼との事のストレスのせいかかなり前から過呼吸の症状が頻繁に出る様にまでになってしまっていた。

私も次に進もう。そう決めて日々仕事を頑張っていた。
なるべく彼の事を思い出さない様に頑張っていた。

そんな中、同僚でずっと彼の事を話していて相談に乗ってくれていた5つ年上の飲み友達がいた。

飲むと感情にコントロールが利かず彼への想いに飲んでは泣き疲れてしまう。
そんな日々を飲み友達と過ごしていた。

その飲み友達が今の旦那になる。

付き合うかどうかになった時も『○○君の事はもうエエの?』と聞いてくれてまだ未練はあったけれどもしかしたらそのうち彼の事を忘れられるかもと思って付き合い出した。
旦那は私の彼に対する複雑な気持ちも理解してくれていたのだと思う。
私は恵まれているのだと思う。

それからはいつも側にいてくれる旦那は心地の良い人で穏やかで楽しかった。
今まで寂しかったクリスマスも素敵なホテルでの楽しいデート本当に楽しかった。嬉しかった。お正月のデートも。
行きたい所へは行きたいと言えば何処でも連れて行ってくれて初めてのドライブデートで海に連れて行ってくれたり。
付き合った記念にと貰った初めての指輪。本当に嬉しかった。

逢いたいと言えばすぐに駆け付けてくれる。
そんな旦那に感じる愛情は元彼に感じていた激しい感情では無かったけれど今まで感じた事の無い絶対的な安心や穏やかな気持ちだった。
元彼に心を掻き乱されてばかりだった私は旦那とちゃんと向き合おうと思った。

元彼と別れて約3年後に私たちは結婚した。

それでも結婚式の当日も式場がたまたま元彼の実家の近くだった事もあり元彼との初めてのデートの場所の近くで… 頭をかすめていた。
「私、結婚するよ」と心の中でほんの少しだけ泣いた。

幸せな結婚式。両親や親戚や友人達がみんな喜んでくれた。特に元彼との悲恋を知っている友人たちは「本当に良かった」と心から喜んでくれていた。
幸せな新婚旅行。楽し過ぎて幸せだった。

新居の近くに住む義両親は私を可愛がってくれていて本当の娘の様に思ってくれた。

彼の事は心の奥底に封印しようと思って封印した。

私は彼とは違う人を選んだのだから。

それこそ、彼が言っていた『自分の事、一生懸命やれや』。
私はそれを頑張ろうと思った。 
彼との手紙のやり取りの中で彼は『人にはそれぞれの役割がある』って言っていた。私もそうなのかもと感じていた。

でも幸せな結婚も波乱万丈だった。

結婚した翌年に大切な弟が病気で急死。
24歳の若さだった。どんなにか私たち家族は悲しみ、色々な後悔、それぞれが自分を責めて。どうして助けてあげられなかったのか?そんな失意のどん底だった。

幸せな私の結婚から急降下、弟の急死でどん底の悲しみを味わった。

旦那は私の事を支えてくれていた。私の家族の事も。有り難かった。それでもどうしようもない辛い悲しい日々。家族が急に居なくなった信じられない悲しい辛い思い。

そんな中その翌々年 私は娘を妊娠。

急死した弟の事もあり私や私の家族にとって娘は希望でしかなかった。
娘の存在が私の中でも大きな心の支えになっていた。
結婚してからも過呼吸の発作が頻繁にあったのが娘が産まれてからピタリと止んだ。

それは多分、自分に心から愛する人がまた出来たからだと思う。元彼への愛情より娘への愛情が優った。そんな瞬間だった。

掛け値無しに可愛くて愛おしくて。

こんな存在が元彼以外に出来た私は娘を大切に慈しみ育てた。