「ライフ・アクアティック」 | YURIKAの囁き

「ライフ・アクアティック」

 ’05 アメリカ映画 118分


ウェス・アンダーソン監督といえば、『ロイヤル・テネンバウムズ』という作品を以前に鑑賞したけれど、どうも印象が薄い映画だったのか、監督の【色】みたいなものが掴めなかった。だけど、この監督の作品『天才マックスの世界』、『アンソニーのハッピー・モーテル』と先出の『ロイヤル・・・』と合わせると、映画評論家や映画通の間では、一部に熱狂的なファンもいるほどの監督らしいです。

 物語はというと、世界的に著名な海洋探検家兼ドキュメンタリー映画監督のスティーヴ・ズィスー(ビル・マーレー)は、最近、自作の映画が不振続きでスランプ状態。唯一の右腕でもある友人エステバンを、幻の怪魚ジャガーザメに食われて失うという悲劇にみまわれてもいた。そんな中、失った仲間への復讐と自身のスランプ脱出を賭け、映画クルーたちを乗せ、探査船ベラフォンテ号で航海へと乗り出す。そこへ、自称、ズィスーの元恋人の息子と名乗る青年ネッド(オーウェン・ウィルソン)、妊娠中の妖しいジャーナリストのジェーン(ケイト・ブランシェット)、映画製作の資金融資をしたビル(バット・コート)も加わり、ドキュメンタリー最高傑作製作計画は進むはずだったが・・・。ズィスーが、クルーたちの制止も聞かず警戒水域へ船を進めたため、思わぬ事態が彼らを襲うこととなるのだった・・・。
 登場人物が、前作『ロイヤル・テネンバウムズ』同様に多い。しかも、皆一癖も二癖もありそうな面々。この撮影クルーの総称は【チーム・ズィスー】。笑っちゃうのは、【Z】のロゴ入りシャツとか、赤いニット帽。これがチームのユニフォームです。こういうチームとしての統一感は一人前なんだけど、妙に滑稽に見えるのは何故なんだろ(笑)肝心な時にブレーカーが落ちても、何事もなかったかのような素振り。撮影隊といっても、それはまるで、ドリフターズの探検隊のコントを見てるようなアホらしさが漂っているし、普通なら深刻な状況でも、彼らはいとも簡単に乗りきっちゃうし、苦難に立ち向かう、というよりも、苦難を肥やしにしている感じすらする。ウィレム・デフォーのクルー隊員も、「どうせ俺はB班さ」とイジケてるとこなんか可愛く見えちゃうんです。ただ、こういう映画って、ゲラゲラ笑えるものじゃなくて、どこか微妙なウィットのあるセリフとか、さりげないアイテムの可笑しさ、深刻なシーンなのにどこか滑稽という状況などに、クスッと笑える、という笑いのセンスを理解できない人にはツマラナイ映画かもしれませんね。