「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」 | YURIKAの囁き

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」

 ’84 アメリカ映画 227分


映画の構成は複雑です。1923年、1933年、1968年という3つの違う時代背景を織り込んだもので、以下に説明するように、思慮深いヌードル(ロバート・デ・ニーロ)と衝動的なマック(ジェイムズ・ウッズ)率いるユダヤ人のギャングスターたちの、人生と宿命を描いた作品。物語のあらゆる個所で登場し、盛り上げてくれるのは、ヌードルの幼馴染の恋人で後に有名なブロードウェイ女優になるデボラ(エリザベス・マクガバン)、マックスのガールフレンドとなる賢くてセクシーなキャロル(チューズディ・ウエイト)、組合のリーダーであるジミーオドネル(トリート・ウィリアムス)そしてイタリアン・マフィアの一員を演じるバート・ヤングとジョー・ペシ。物語は組織犯罪の増加、禁酒法の施行、労働の強要などを全て扱っており、こういったことが【昔の幼馴染たち】に与える影響などを描いています。


 西部劇監督のレオーネにとって、これらのテーマ――社会のはみ出し者、友情と裏切り、崩壊とヴァイオレンスはありふれたものなのでしょうけれど、映画のスタイルはもっとダークで、ほとんどオペラ的だといっていい。全体を通して、写実的でもないし、歴史的なものでもない。これは現実的なもの、大人のための寓話だと言えないでしょうか。非常に男性的な映画ではあるけれど、それは刺激的で、心に深く残る。無情なほどパーソナルであり、永続的に美しい。叙情詩的なアプローチと、オリジナリティ溢れる構成力と説得力。この映画は人の心を魅了してしまうといっても決して過言ではないと思う。約4時間という時が、映画職人としての自信、構成の確かさ、彼の熟練されたショットの数々と共に流れていき、主演のデ・ニーロのあまりに存在感が強く、完成されつくした映像もあまりに素晴らしい。犯罪と歴史の壮大なおとぎ話であり、それは、メランコリー、流血事件、下劣な世界、お金とヴァイオレンス、壊れゆく愛、そして狂おしいまでに崇高な男たちの物語です。

 映画と同様に、音楽のエンニオ・モリコーネが描くテーマ曲のパンフルートの美しさも絶品。