「アザース」 | YURIKAの囁き

「アザース」

                                                                                                          


もうかなり前の映画なんだけど、お気に入りの一本なのでご紹介。

ホラー映画と言えど、更に分類すれば色々あって、スプラッタとかオカルト物とか、クリーチャー物とか・・・この「アザース」はゴシック・ホラーというジャンルのホラーです。ゴシックとは何か?ゴシックとはゲルマン系民族にゴート族というのがいて、彼ら民族の文化全般を指します。「古い」ということに用いられるけれど、厳密に言うならば、「ゴシック調」として、古代ローマに波及した建築様式にこの言葉が広く使われたそうな。

で、ストーリーはいたってシンプルで、


【ストーリー】

第二次世界大戦中のイギリス。チャネル諸島のジャージー島の広大な屋敷に、母親グレース、その娘アン、息子のニコラスの3人が暮らしていた。夫は軍人で、戦争へ行ったきり音信がない。使用人がいたのだけど、突然辞めてしまったため、グレースは困っていた。

そんな時、使用人募集に3人の人物が現れ、グレースは雇うことにする。子供の2人は、太陽光を浴びることのできないアレルギーであるため、日中でもカーテンを開けることができず、屋敷はいつも暗い。

グレースは神経質な性格のため、使用人にも細かく指示を与えるが、次第にグレースは使用人たちの妙な行動に気付き始め、彼らが何者なのか探ろうとするが・・・


限られた空間と限られた配役によって、ものの見事なゴシック調を生み出していると言えます。何より注目したいのは、音の使い方。日頃聞きなれたドアの開閉の音や、物を移動させたときの音、時計の振り子や秒針の音、人の囁きや風の音。こういった音を、暗く静寂の起ちこめた洋館の中で何気なく活用しているのが憎い演出ですね~

更には、前半の展開で、映画ファンなら予想できたであろう展開に、この監督の憎いぐらいの伏線を張り巡らしておいて、実はこうではなく、こうなんだよと一気に落とすあたり・・・スクリプトの妙とはこれ然り。

だけど、作中のこういった仕掛け?があまりにしつこくなると、逆に観る側を飽きさせ、また、作品自体を難解にしてしまう。

よく、この「アザース」はシャマランの「シックス・センス」のパクリと言われるけど、実際は「アザース」のほうが先に製作されていて、公開が遅れただけらしいですねぇ。

ニコール・キッドマンの透き通るような美しさと、すべての美術の美しさ、正にゴシック美に彩られた映画だと思います。