この子の父親との連絡もやっと取れ、
中絶書類を書いてもらうけれど、
あたしはこの子を産みたい。
この子の父親である彼はどんな人なのか
軽く説明すると...

〇仕事は数日で辞めてしまう
〇暴力を振るう
〇自己主義
〇保護観察中
〇嘘つき
〇変な自信家
〇2度目の交際終了後、妊娠発覚

あたしが彼に伝えたいことは、
この子の父親であることを自覚して、
中絶するにせよ、この子がこの世に存在した
ことを覚えておいてほしいってこと。
そして、もう1度交際をして、籍を入れ、
夫婦になることはないということ。
理由として暴力や金銭的問題、
職場の安定など環境が整っていない、
そして出産までに整わすことも難しいと
判断したからです。

結果、彼の意思もあたしと同じらしく、
お互いこれっきりだと決め、
話し合いは終了。
コンビニでご飯を買おうってことで、
彼のお母さんに奢ってもらって、
挨拶しての帰り際、「お前、鼻真っ赤!」と
彼が指摘。「誰のせいだよ...」って返すと
自然と二人の間に笑顔が出た。

あぁ、その笑顔が好きだったんだよね。
煙草の吸い方、そのだらしない歩き方...
なんて...交際時の未練が溢れた。

彼は今、夜職を始めたばっからしい。
未成年なのに?というのは置いといて、
彼らしい職業だと思った。
嘘を付くことが大好きな人だったから。

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書類は揃った。
あとは手術当日までにあたしが
説得しきれるか、そのまま手術か...

処置としては中期中絶ということで、
2日かけて腟内を器具で広げて、3日目で
陣痛促進剤に似たようなもので体内から
出し、死産という形で、火葬や埋葬を
しなければならない。


手術費用は負担するとのことで、
あたしはこの子を守れるのか不安になった。

けれど、あたしはこの子になんの罪もなく、
あたし達は当時、「欲しい」と思ったのも
事実で、それを叶えてくれたのに、
殺すなんて出来なかった。
その点、母や祖母が言うことを
全く理解出来ないわけでもなかった。
逆に自分もわかっていた。
それでもあんな残酷なことは出来ず、
自分のしたことを悔いながらも、
聞こえるかわからないけれど、毎日お腹に
手をあてて、「Mamaのとこに来てくれて
ありがとう」って「もしかしたら、貴方を
守れないかもしれない」って、
そろそろあたしも諦めモードに入っていた。

手術当日まであたしは反対を賛成に
変えることが出来るのか...?
そんな思いに毎日悩まされていた。