陽気なる逃亡者たる君へ言う

       疲れたときは孤独になれ

 

       でも 好きなんだろ 生きてることがよ

 

       時を超えてゆくために休め 休めよ

       静寂の部屋に籠もりいて

       もう一度出かけてゆけ              〈crescendo  diminuendoから〉

 

 

 

 

 

 

   2024年6月12日

    神奈川ぴあアリーナ(桜木町)

   58歳となる永遠の少年 宮本浩次のBIRTHDAY当日コンサートは

   ソロ5年目の記念でもある

 

 

今年は、何か自分のために愉しむことをしてはいけないような気持の中

(阪神の時も東日本のときもそうだったように)

直前2週間続いた不調で気合の入らない心身であることが、

言い訳かまたは免罪符になるかのように(ならないが)、まあ出かけて行った

ここで、何をしたいかというと、本日すべきは浩次への謝罪である

 

半年前の「ロマンスの夜」がある意味ショックであったこともあり

~~こんなに影響を受けるとは思わなかった~

その後、これまで全然考えてこなかった浩次に関する「なぜ?」をまとめ続けた

 

音楽を聴く人は「元気をもらう」「癒しである」の評価が定番になっているが

私は生来そうしたあり方からは後れをとっていて、

本当のところ、「鑑賞」するという正しい姿勢よりは,もっとそれ以前の

泥沼の自分にも響く楽曲を探して、這い上がるべき何かを得ようとしてきた

。。ように思う

 

25年前

私が出会ったのは、混迷と逡巡を抱えた諦念の中から飛び出そうともせず

開き直るように大いばりで閉塞感を歌う 不思議な楽曲だった

よくこんな曲を、同じメロディで毎回歌えるな、と感心するような

カテゴライズし難い 魂を絞り出す作品を 私は口をあけてアホ面で聴いていた

居場所がないんだ 居場所を探すんだ!と叫ぶかのような恐ろしく挑発的な声に

「もういいよ、わかったよ、わかったから」と肩を抱いて慰めたくなる

それが、若き浩次のロックだった

 

難解な歌詞とリリカルな曲調、乾いた高音のミックスボイス

美しい、とにかく美しいが癒しではない むしろしんどい

私はそこに逃げ込んだ

軽々しい「元気出しソング」などは疎外感をもらうだけ

「元気を得て頑張る」のではなく、「心を癒す」のでもなく

彼の威圧力で自己の隙間を埋めて引きこもろうとした、それが四半世紀前の私

 

 

 

時を経て  2024年  ソロ活動5年

広いアリーナで、バンドのフロントマンでないひとりの男が歌うのは

カバーの女唄~ロマンス・ナンバー~ではなく、オリジナルのロック

今日はギターに代えてハンドマイクのvocalistとして

大きな信頼を託す「五人衆」小林武史以下のバンドユニットの前を合間を

MCもなく力の限り二時間強を歌い、走り、跳躍する(よくもあんなに跳べるな)

ときにしゃがみ込み、片膝をつき、しまいにはマイクを持たぬ片手もついて

ステージ床にひれ伏すように

 

 

かつてはエレカシのバンマス rocker浩次 しか見ていなかったが

singerとしてはたしかにカバー曲「ロマンスの夜」で実力を見た

ばかりか、今宵はエレカシとソロのオリジナル曲群をこれでもかとばかりに

初めの三曲で、全力使い果たすのではないかと案じるほどに

渾身のロックナンバーを見た

中には、翌日SNSに「あの曲が出た!」と話題になる伝説の歌もあり

すべては破綻なく、きっちりと聴衆に届いた。。。飛び跳ねながらね(笑)

その歌唱に、シャウトに、ぶんなぐられるような痛みを感じた

なんだ、なんだ、この人はこんなにすごい歌い手だったのか

 

4オクターブといわれる高音もなんら不安がなく

ビブラートを使わずに太い声のまま高低を行き来する

息継ぎはいつしているのか、ブレスが聞こえない

まるで、一呼吸の肺活量のみで一曲を歌いあげているかのようだ

走り回っても息をきらすことなく、跳ねながら正確な音程で曲に入る

と、これまで言われてきたことすべて、あー、ほんとだ! と

たしかに、ギター&ボーカルではこんなに走り回らないもんな

 

これらはすべて技術的な特性であり、浩次を語る上ではただの前提である

しかし、とりあえず私は体感した

 

  私は今まで彼の何を見てきたのか?

   浩次、あんたはこんなに素晴らしい歌手だったのか!

 

 

25年間なにを見ていたの・とさすがに自問自答したが

そう、つまり私は「逃げ込んでいた」だけで 真価はわかっていなかった

と、認めるしかない

ロマンスで萌えてる場合ではないよ

 

   ごめんなさい、 あなたの底力を見くびっていた!

 

 

20代のころの絞り出すような魂の咆哮も

昨今の洗練されたバラッドも 彼はただわが身のベクトルのままに歌うだけ

そうせずにはいられないから、このように歌うのだと

行間に伝わってくるメッセージに 私は「ごめん、浩次」と謝るだけだ

魂の向かう先ばかりに目が行き、本当の力を見誤っていた

 

それに気づいた後、私の中で浩次の「使用法」は変化するのだろうか

私は、殻を出て、前に進むのだろうか

それはまた 次のライブだな

そして 次は4人のメンバーで Erephant Kashimashi に会いたいです

 

〈今回のセットリストの意味を考えるとか、バンドはどこへ向かうのかなど

 本質的な疑問は10日経てようやく頭を占めてきた。それは後日〉

 

 

 

                  クリックして拡大すると、歌唱する自画像が何人かいます

 


 

                 スタースタースタースター

 

 

     時は流れて お前は今どのあたりを歩いているんだい?

     ああ お前は今 どのあたりなのさ    (by    Sha ・la・ la・ la)

  

 

 

             

 

                   

       敗北と死に至る道が生活ならば

       あなたのやさしさをオレは何にたとえよう

       たとえて行こう   (By  あなたの優しさをオレは何にたとえよう)

 

                 音譜