『母なる証明【ネタバレ】』

あらすじ…

凄惨な殺人事件の容疑者として一人の青年が逮捕される。彼の母親は物静かな息子の無実を信じるが、それを証明することができない。警察も弁護士も頼ることができなくなった母親は、自ら真犯人探しに乗り出す。

いや、参りました。素晴らしいの一言です。

というか、一言で素晴らしい！！というのが、自分の感想の中で率直な意見なのかどうかもわかりませんよ。スカっと「面白かった--!」という感じではないですなぁ。

まず、オープニングのダンスシーンと音楽。沈黙、かすかに聞こえるハエの音。

私も阿呆ながらに、反抗期の年齢ど真ん中な阿呆な息子がおりまして、まあ、それでもよくしゃべる息子なんですよ。

そら、いろいろありますが、やはり息子ほど可愛い生き物はないんですなぁ。

まあ、健康で丈夫な息子だし、放っておいても勝手に育つし、テキトーにしているのですが、しかし。

しかし、いくら丈夫とはいえ、正直、心配になりだしたら、あれもこれも心配になってしまうところを、努力して「心配しないふり」を演じている部分もあるというのが、母としての本音なのかもしれません。

夫に対してもそうですが…

ましてトジュン（ウォン・ビン）は、確実に自立できないハンディキャップを背負っているわけですし、そらもう自分の全てを賭けてしまうのは当然ですわな。

トジュンが立ちションしてる脇から、薬を飲ませてあげるシーンなんかは、その辺りを上手に表現できてると思うんですよ。

話は変わりますが、ペドロ・アルモドバル監督「オール・アバウト・マイ・マザー」で、母親が息子との会話の中で

「あなたのためなら（売春をしてでも）フェラだって出来るわ」

というセリフがあって、あたしゃビビりました。

この映画を見たのは、息子が保育園に通っていた時で、果たして年頃の息子に、この様なセリフが言えるか、あるいは、この心境になれるか？という事を、わりかし思い出します。

言えるわけないんですけどね。

まあ、どちらかといえば、「あなた（息子）がいるから」売春行為なんかしない」というのが、日本人的な発想だと思うのですが。

息子が保育園の時は、私も母親になって日が浅かったし、勿論今は、その時に比べて母親歴は長い。

しかし、息子や夫に対する情の深さというのは、全力で愛情を注がなければいけない幼少期と比べても、今の方が断然に深いんですよ。でも、多分出来ないし言えないんですけどね。

ていうか、そういう需要もなさそうなんですけどね。

ちょいと話は反れましたが、この母ちゃん（キム・ヘジャ）は、足の先から髪の毛の先まで、この成長する事の出来ない息子への愛情と絶望にそそいでいるのだが、息子と面会をする時に、ある事実を思い出されてしまうわけでして。

これ、見終わってから、しばらくして、このシーンあってからこそのラストシーンがあるんだなぁ…と思ったりして、いや、この二人の親子の、微妙な表情の演技力がないと、映画として成り立たなかったんじゃないか？？と物凄く感心してしまったのですよ。

あと、ラストシーンに関してですが、音楽と沈黙の力が凄かったです。

それまで、全然涙が出る感じではなかったのですが、涙がホワーーーっと出ましたよ…

というか、もうダラしないかんじで、ダラダラとエンドロール中涙出っ放し。鼻水すすりっぱなし。

音楽と沈黙の持つ力を久々に感じましたね。

ポン・ジュノ監督と、この映画製作に携わった人達全てに感謝します…

殺された子の親友の顔に傷のあったコといとうあさこがソックリ度

100ポイント

キム・ヘジャさんは片平なぎさと吉行和子だった度　　　　　　　　　

200ポイント

刑事さんは全力で温水さんを手入れした感じだった度　　　　　　　

200ポイント

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