「私には夢がある。
それは、いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが肌の色によってではなく、
その人格の中身によって評価される国に住むという夢である。」
ワシントンで行った、キング牧師の歴史的な演説から50年。
2013年8月28日、同日 同じ場所において 演説に立ったオバマ大統領は
以下のように述べた。
「半世紀前には想像不可能だったくらいにアメリカの黒人に成功例が出てきています。
しかし、既に知れ渡っているように、黒人の失業は白人より2倍高いままです。
人種間の貧富の差は減少するどころか、拡大しているのです。」
この半世紀で 政治面ではたしかに変わったが、
肝心の ”人種問題” については
未だ、経済格差や雇用問題が、根強く残っているという認識を示したのである。
黒人に理解を示したアイゼンハワー大統領時代の1950年代から80年代にかけて
ホワイトハウスで、7人の白人大統領に仕えた黒人執事の物語です。
主人公のセシル(フォレスト・ウィテカー)は、南部の綿花畑で働く奴隷の子どもだった。
目を背けたくなるほどの理不尽な人種差別の下、両親の悲惨な運命を見て
生き延びるには、必要な振る舞いがあることを知る。
「空気のような存在になること」 と教えられたとおり、
執事として、人に仕える技術を磨き、
来る日も来る日も 忠実に働いてきたセシル。
仲間だけではなく、大統領からも厚い信頼を得ることにより
黒人に対する見方を変えていく、というのが
彼なりの ”差別” への闘い方なのでしょう。
が、家族間では
父が、白人に迎合しているだけなのではないか、と疑問を持つ長男は
公民権運動に身を投じ、次男はベトナム戦争に志願してしまいます・・・。
原題: LEE DANIELS' THE BUTLER (2013年米)
(C)2013,ButlerFilms,LLC.AllRightsReserved.
ここでは、
セシル目線での大統領の人間性や政治的計算が見もの。
父子の葛藤、妻の夫への思い、
そこに歴史を絡めながらの強いストーリー。
ひとそれぞれ 闘い方は違うけれど この過酷な歴史は
知っておかなければならない、と改めて思います。
ともすれば、重いテーマに心を潰されそうになりますが、
彼らの ”魂の叫び” ともいえる ソウルフルな音楽に救われます。
繊細な演技のウィテカー、
妻役のオプラ・ウィンフリーは、とってもチャーミング。
ほか、ジェーン・フォンダなど ホワイトハウスの住人のぜいたくな顔ぶれ。
マライヤ・キャリーも出演していますよ。


