女心と秋の空
でも、本来は 「男心と秋の空」 だったのです。
違うのは、 ”ブレ” の大きさ。
女性の心の ”ゆれ” は、
男性ほど 大きくなく 見た目にはわかりにくい。
が、細かく速く、、確実にゆれているのである。
一本気の板前、貫也(阿部サダヲ) と妻の里子(松たか子)は、
苦労して開いた店を火事で失ってしまう。
すっかり覇気を失くしてしまった夫の
一夜の浮気に勘づいた妻。
夫を執拗に責めながら ある企みを思いつく…。
物語の ”結婚詐欺” は 今までのそれとはまったく違う。
女心を知り尽くした妻が、
筋書きを作って 裏で糸を引き、
夫に、孤独な女性を騙すように仕向けるのだから。
華やかな東京には、
孤独な人間で あふれているのも事実。
作中の騙される女性にも 騙す女性にも
現代女性の ”渇き” が
色濃く 生々しく 描き出されている。
(C)2012「夢売るふたり」製作委員会
良妻だった里子は
いったい何がしたかったのだろう
何を 欲しているのだろう
女性たちに甘い言葉を囁く夫をみて
お金のために、割り切れるのだろうか
本当に 夫を愛しているのだろうか。。
微妙な表情の変化を淡々と 冷酷に演技をする
松たかこさん。
私も まんまと 騙されてしまったのか…。
人間の心というものは、
最後の最後は 計算づくで動くものではなし、
本当に 摩訶不思議である。