井上靖氏の自伝的小説の映画化。
ここでは、昭和の大家族が描かれており、
どことなく ほのぼのとしています。
認知症の母親を演じた樹木希林さんって
かつて 同年代を演じたことがあったのだろうかと思うくらい
”老女” 役が 板についていますね。
本作では、
かなり 抑制されているとはいえ、
表情が豊かで、
セリフや動作のひとつひとつに 惹きこまれます。
夫を亡くした八重 (樹木希林) は、
物忘れの症状を 徐々に見せ始める。
そこで、
小説家である息子の洪作 (役所広司) の家で
孫たちと一緒に暮らすことになるのだが、
母と息子の間には、ある ”確執” がある。
息子が母親に対して抱いている思いが、
思わぬ時に 晴れるのであるが…。
↑ 何が何だか わからないでしょう? 笑
このプロセスが 全篇の ”核” となるから
うやむやに書いてしまいました~
洪作と三女 (宮崎あおい) の間に流れる
微妙な心理の葛藤。。
家族の何気ないエピソードが
きめ細やかに 丁寧に 描かれています。
題材から考えますと
胸がしめつけられるような
暗い作品なのでは、と思っていましたが、
樹木さんの演技とセリフが絶品で
かなり笑う場面もあり。。
(C)2012「わが母の記」製作委員会
終盤での
動物的とも思える母の情の表出に
心から泣けます。
子を思う母親 とは こういうものだということを
感じ入るシーン。
この家族は、だんだんと症状が酷くなる八重をのけ者扱いにせず、
いかなる時も 八重の尊厳を守り
むしろ、温かく見守っていこうとします。
「知的で温かな介護」
「母の日」 だけではなく
常日頃 感謝をしなくては、、と
改めて思わせるくらいの秀作だと思います。