保守的で強硬な政治手法から 「鉄の女」 と呼ばれた
英国初の女性首相、マーガレット・サッチャー。
本作は、単なる伝記ものではなく、
ひとりの女性の内面を描いている物語といえるでしょう。


認知症が公表されている、86歳のサッチャー氏の
政治家時代の回想と、亡くなった夫が幻想で現れたり…とが、
混然一体となって描かれています。


異様な男性社会の中、
党首になるためのイメージ戦略、
アイルランド共和軍のテロ攻撃、
フォークランド諸島への軍隊派遣。
苦悩しつつもカリスマ政治家となったサッチャー氏は
自分だけを信じ、そのうち、誰の言葉にも耳を傾けなくなり…。
(C)2011PatheProductionsLimited.ChannelFourTelevisionCorporationandTheBritishFilmInstitute.
ストリープ演じるサッチャー氏の
どこか遠くを見つめているその目に浮かび上がるのは、
権力者としての強い彼女ではなく、
家族への愛情や、残された者の孤独である。
毅然と演じきったストリープの名演に
改めて拍手を!
ひとりの女性として
彼女が、世を去った夫に問いかける
「幸せだった?」 の言葉が 深く胸に迫る。。
