実像も虚像も、実は どちらも その人物を現すものなのでは…。



本作は、FBIを作り、その長官として君臨した

ジョン・エドガー・フーヴァーの生涯を描いた伝記映画です。



クリント・イーストウッド監督は、

複雑きわまる構成で、フーヴァー長官の全体像に迫っています。





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観る側には、相反する視点からの映像を提示されます。



ひとつは、

フーヴァーが、回想録を残すために語る「虚像」の部分。

ギャングとカッコよく闘い、捕まえる英雄で、

まさに、”米国の英雄” を体現しているもの。


もうひとつは、マザコンで同性愛者の「実像」。

女装趣味もあり、このシーンでは、

ヒッチコック監督の「サイコ」 を彷彿とさせます。



が、フーヴァーは、自身で、その実像を認めないのです。


認めたくないから、

他人の行為を暴くことに執着するのですね。





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虚像と実像が、奇妙にも互いに支えながら、

それが、両論となり、FBI、そして華やかな米国を

作りあげていく様子が、実にスリリングで興味深かったけれど、

この時間内で、あまりにも多くを語りすぎているかなと。。



年老いた、フーヴァーとトルソンが、食事する場面は、

唯一、情感を覚えるシーンで微笑ましい。



フーヴァー役のディカプリオは、特殊メークを使用しながら、

22歳から77歳までを、見事に演じきったと思います。






                    シャンパン