人は、
今までにない新しい思考を持ち、先んずる者を 排斥する傾向にある … 、
それを認めることにより、自身の立場が揺らぎ、危うくなるから である。
野球の映画であるのに、試合よりも数字の羅列や方程式で見せる
ユニークな作品。
数学好きな私は、夢中になって観てしまいました。
野球選手の過去を持つ、弱小球団アスレチックスのジェネラル・マネージャー(GM)、
ビーン(ブラッド・ピット)は、資金不足で、選手獲得に大金を使えない悩みを抱えて
いた。
あるとき、イェール大出身のコンピューターによるデータ分析に秀でた
ピーターと出会う。
彼の考えとは、出塁率や長打率の高さで選手を選ぶといった、
打点や本塁打を打てる選手をスカウトしてきた従来の考えを
全く覆すものだったのである。
(私も 心の中で う~ん、、と唸ってしまいました~)
「選手を買うのではなく、勝利を買うべきだ。」
そう言うピーターをパートナーにしたビーンは、
低コストで作った、一見 ”寄せ集め” のチームで戦っていく…。
今までの野球映画では、チームワーク、根性、友情 で”勝利” をもたらして
きましたが、本作では、数字(データ) によって”勝利”を得るのです。
それもそのはず、
脚本は、『ソーシャル・ネットワーク』 のアーロン・ソーキンですから、
納得です。
野球一筋、頑固者のビーンが、唯一、優しい表情に戻るとき…、
それは、最愛の娘と会うときです。
クールで熱い彼が、持論を貫くことへの悩みと娘への思い。。
人間臭くて、共感を覚えるシーン。
”マネーボール理論”の成果は、ラストで提示された移籍料。
人生の選択を、果たして、ビーンは数字で選ぶのでしょうか。。
観てのお楽しみということに~
本音のレビュー
原作は、ビリー・ビーンの半生をマイケル・ルイスが書いたノンフィクション。
だからでしょうか、
描かれているのは、夢のような痛快な勝利!ではなく、
試合の度ごとに、ほろ苦い思いが残る、まさしく現実的な勝利。
高校時代にスカウトされて大学進学を断念した時と、プロ時代、
そして、現代との交錯シーンが、より内容を深くしていると思います。
人生は、小さなことを含めて 決断の連続なんですよね…、
しみじみと考えさせられました。。