大人になるといろいろな諸事情を抱えながら生きています。
多かれ少なかれ、ほとんどの人がそうですよね。
この本の帯に書いてある文章は、
常日頃思っていること、まさにそのまま的を得ているのです。
人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている
「いろいろ事情があるんだろうよ……」
大人はそういう言い方をする。
なぜか?
人間一人が、この世を生き抜いていこうとすると、
他人には話せぬ (とても人には言えないという表現でもいいが)
事情をかかえるものだ。
他人のかかえる事情は、当人以外の人には
想像がつかぬものがあると私は考えている。
(「妻と死別した日のこと」より)
故 夏目雅子さんのこと。。
いつもながら 歯切れのいい文章を目で追っていくと
ああ、そうよね~ と共感を覚えることが多く、一気に
読めてしまいます。
「春 夏 秋 冬」 と4つのカテゴリになっているところも
なかなかシャレています。
夏 の中に
「無所属の時間を大切に」 というタイトルがあります。
それは、(自分が)どこにも属さない時間を過ごすということ。
簡単そうでなかなか難しいことですよね。
この ”無所属の時間” は、作家の城山三郎氏がそう呼んで
大切にしていたそう。
また、作家の吉行淳之介氏は、”煙草屋までの旅” と語ったのだとか。。
煙草を買いに出かける行動が、 すでに ”旅” というところが
粋ですよね。
一見 ムダと思われるようなことを大切にする ”粋” な心意気や
”ダンディズム” にこだわるのが大人なのではないのかなぁ と思う
一冊。